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結婚前に知っておきたい「隠れDVの7つのサイン」、DV被害からの再出発

結婚前に知っておきたい「隠れDVの7つのサイン」、DV被害からの再出発

― DVを乗り越えたカウンセラーが本気で伝えたい、人生を守るための結婚相手の見極め方とは ―

「本当は優しい人なんです」
「仕事でストレスがたまっているだけ」
「私が我慢すれば……」

そう思いながら、自分の感情を押し殺している女性は少なくありません。けれど、「あれ? なんかおかしいな」と思った“最初の違和感”は、実は“心の危険信号”かもしれないのです。

心理カウンセラーの増川由美子さんは、かつてDVを受けた当事者でした。精神的な支配と恐怖のなかで結婚生活を送り、辛い経験を経て再出発。現在は、女性専用オンラインカウンセリング「ボイスマルシェ」などで悩みを抱えた人の相談を受ける立場となっています。

この記事では、増川さん自身の体験をもとに、「隠れDV」の危険信号を見抜く7つのサインと、親として娘にできること、そして本当に大切な結婚相手の条件を話していただきました。

<お話してくれた方>
・増川由美子(ますかわ・ゆみこ)
心理カウンセラー/女性専用カウンセリング 『ボイスマルシェ』公式カウンセラー
著書『DVから解放されて自分の人生を取り戻そう あなたは何も悪くない!』
裕福でない家庭環境で育ち、一生懸命働いている親を見て、甘えることは苦手な我慢強い子だった。人の感情を読み取るのが得意だが、自分の感情を出すのは苦手な10代を送る。20代後半で結婚して最初は共働きで上手くいっていたが、子供のことを考えて仕事を辞めた途端に夫のDVが始まる。5年の月日を経ての解放後、仕事に復帰。苦戦しながらシングルマザーとして仕事と子育てを両立してきた。自分のように苦しんでいる人の役に立ちたいという思いから、心理カウンセラーの資格を取得。

 

1. 店員にクレームをつける人には要注意

DV加害者の特徴のひとつは、「自分より立場が弱い相手にだけ横柄になる」ことです。

付き合っているときは優しくても、レストランやショップで店員さんに対して急に怒鳴ったり、理不尽なクレームをつけたりする人を見たことはありませんか? 「注文を聞きにくるのが遅い」「商品が気に入らなかった」など、些細なことで怒りを爆発させる——そのような場面に遭遇したら、要注意。

増川さんの元夫も、買ったばかりのスポーツサンダルで靴擦れしたと文句を言い、「ポスターのモデルは裸足だった!」と店に電話して怒鳴りつけて、返金を要求するほどだったそうです。穏やかな仮面の裏に潜む支配欲と自己正当化。それは、恋人には見せないけれど、結婚後にパートナーに向けられる可能性が高い“暴力性”です。

 

2. ハンドルを握ると人が変わる

運転中の言動にも、その人の「本性」があらわれます。「ハンドルを握ると性格が変わる」と言われるように、車の中は密室であり、ストレスを爆発させやすい空間です。

クラクションを無駄に鳴らす
隣の車に怒鳴る
後続車を威嚇する
このような態度が見られたら要注意です。

自分の思い通りにならない状況に対して、冷静さを保てない人は、パートナーに対しても同じように“怒り”でコントロールしようとする傾向があります。「今日はたまたまだよ」「仕事で疲れてるだけだよ」という説明に騙されないでください。感情のコントロールができない人との結婚は、あなた自身の心をすり減らしていきます。

 

3. 酒癖の悪さは“性格の地”が出るサイン

「飲まなきゃいい人なんだけど…」という言い方、聞いたことありませんか? でも、飲んだ時に出る“乱暴な一面”は、本人の中にある「本質」です。

酔って暴力的になる
人を見下す発言が増える
急に怒りっぽくなる

こうした傾向がある人は、アルコールで理性のブレーキが外れているだけ。それは抑えていた暴力性が出ているともいえるのです。DV加害者の中には、酒をきっかけに暴力がエスカレートするケースも多く報告されています。ちなみに、増川さんの元夫には酒癖の問題はありませんでした。それでもDVはあった。ということは、「飲まなきゃ大丈夫」ではない、ということでもあります。

 

4. 連絡が遅れると怒る人は“支配的”になりやすい

交際中に、「LINEの返信が遅い」「電話に出なかった」と怒り出す相手はいませんか? DV気質の人は、被害妄想が強く、「裏切られた」と勝手に決めつけて怒りを爆発させる傾向があります。

少しでも返信が遅いと連投してくる
「誰といるの?証拠見せて」などと詮索する
「俺を不安にさせるお前が悪い」と責める

最初は「愛されてるのかな」と思うかもしれません。でも、それは“支配”の始まり。恋人関係のうちは“やきもち”で済んでいたことが、結婚後は生活の監視や外出禁止へと発展する可能性もあります。

 

5. 弱者に無関心な人は“共感性”が低い

電車で席を譲らない
困っている人を見ても助けない
見下したような発言をする

こうした行動がある人は、相手の立場に立って考える「共感力」が欠けている可能性があります。DV加害者の多くは、他者の痛みに無関心です。「自分が正しい」「相手が悪い」と常に主張する彼らにとって、相手の感情は“存在していない”のと同じ。他人の苦しみを無視する人は、あなたの苦しみにも鈍感です。

 

6. 家庭環境に“違和感”がある

結婚は、相手の「家庭観」や「親との関係」も受け継ぐことになります。増川さんは自身の経験から「相手の育った家庭環境を知ることの大切さ」を強く感じたといいます。

増川さんの元夫は、母親が非常に感情的な人物だったそうです。家庭内の雰囲気は常に緊張感があり、子どもの頃から“感情のコントロール”が学べていなかったのかもしれません。「自分は、父親のように弱くなりたくなかった」と語った元夫。その反動で“強く出る”ことで家庭内での優位性を保とうとしたのです。その心理の根底には、家庭の影響が色濃くあったと考えられます。

結婚前に、こんな質問をしてみてください。
「ご両親はどんなふうに話し合いをするの?」
「家でケンカすることってある?」
「子どもの頃、どんな家庭だった?」

些細なやりとりのなかに、その人の「家族観」「人間関係の原点」が見えてきます。違和感を覚えたら、それは直感ではなく“サイン”かもしれません。

 

7. 他人の人生を背負おうとする人には注意

「オレが支えてやる」「君が必要なんだ」……、一見、頼もしいように聞こえる言葉も、実は支配のはじまりであることがあります。

増川さんの元夫は、経済的な優位性を持つことで彼女をコントロールしていました。退職して家庭に入った途端、「俺が食わせてやってる」「お前は、“はい”だけ言っていればいい」と言い放ち、日々の掃除に細かく指示を出し、人格を否定するような言動が始まったのです。

生活費を渡さない
働かせない/辞めさせる
お金の使い道を管理する
経済的DVとは、こうした「お金で相手を縛る」行為を指します。

支配の手段が物理的暴力ではなく、「依存を生む環境づくり」に変化していくのが、精神的DVの特徴でもあります。“支える”という言葉の裏に、「お前は俺に従え」という意識が見えたとき、それは愛ではなく、支配です。

 

親として、娘の“違和感”を見逃さないために

もしあなたの娘さんが「私の彼の言動を、どう思う?」とあなたに質問してきたとき、どう対応しますか?

増川さんは言います。「仮に、親から見ておかしいと感じる言動であったとしても、“そんな人やめなさい”と頭ごなしに否定するのではなく、“その人のどういうところが好きなの?”とお子さんに問いかけてください」

親が否定すればするほど、娘は“自分を否定された”と感じ、相手を庇おうとします。だからこそ、話しやすい雰囲気をつくることが大切です。

・「ママはいつでも味方だよ」と伝える
・娘が話し出すまで待つ
・何かあっても「だから言ったでしょ」とは言わず、寄り添う

この関係性が、いざというとき「助けて」と言える安心感になります。

 

最後に 本当に大切な“結婚相手の条件”とは

増川さんがたどり着いた「本当に大切な条件」はとてもシンプルです。

思いやりがある
一緒に並んで人生を歩いてくれる
会話のキャッチボールができる
お互いを大切にできる
自分らしくいられる

「一緒に歩こう」と言ってくれる人。その一言に、幸せな人生の鍵があります。

増川さんからのメッセージ:
“あなたは悪くない。DVをする人が、悪いのです。”

DV被害からの再出発をした経験者だからこそ言える、この強いメッセージを、どうか心に留めておいてください。結婚はゴールではなく、人生のスタートです。その一歩を、どうか安心と信頼のある関係から始めてほしいと、心から願っています。

[執筆:ノーツマルシェ編集部]

※画像: elise / PIXTA(本文とは直接関係ありません)

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