2020年までに指導的地位における女性の割合を30%に、という政府方針もあり、管理職となる女性は、今後増えていくことでしょう。筆者のまわりでも、管理職となった女性の知人がちらほら。管理職の方が時折もらす話のひとつは、「部下の指導の仕方で途惑う、どう指導したらいいかわからない」というもの。
本日は、「指導の仕方」のヒントになる、相手の性格タイプによる動機づけの違いについて、ご紹介したいと思います。
■ あなたはどのタイプ?
自分のタイプを知るために、イメージしてください。あなたがサッカーチームに所属していたとして、試合中に高いプレッシャーのかかるペナルティキックを任されたとします。この時、コーチからA・Bどちらの言葉をかけられたら自分の力を発揮しやすいでしょうか?
- A「今からペナルティキックを5本蹴ってもらう。少なくとも3点とることが、君の目標だ」
- B「今からペナルティキックを5本蹴ってもらう。2本より多く外さないことが、君の義務だ」
いかがでしょうか? 筆者は断然「A」ですが、社内の同僚に聞いてみたところ、「B」という回答が返ってきました。
■ 2つの性格タイプとは?
コロンビア大学のハイディ・グラント・ハルバーソン氏とE・トーリー・ヒギンズ教授は、前述のAを好む性格を「促進焦点型」、Bを好む性格を「予防焦点型」と表現し、これらの性格タイプによって動機づけに違いがあるとしています。
・「促進焦点型」の人
自分の目標を「獲得」や「進歩」の追求と捉えており、目標を達成したときに得られる利得に焦点を当てて物事を考える人たち。
・「予防焦点型」の人
自分の目標を「責任」として捉えており、「安全」「義務」そして、失敗を避けることに焦点を当てて物事を考える人たち。
前述のペナルティキックの事例は、ドイツのサッカーのセミプロ・リーグのコーチによって行われた実験ですが、選手の性格タイプに合った指示の仕方のほうが、はるかに良い結果につながったのだそうです。
もちろん、人間の性格は「促進焦点型」か「予防焦点型」か、という2つにきっちり分割できるものではありません。ですが、性格タイプの違いや思考の違いによって、動機づけにつながるコミュニケーションの言葉は異なるのは知っておいて損はありません。この話があなたにとって、明日からの部下への接し方のヒントになれば嬉しいです!
[執筆:菅野彩子]
【参考】
※ 『Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー)』2014年09月号、HBR翻訳論文「成功志向型か、失敗回避型か 挑戦欲で動く人、責任感で動く人」, pp.10-pp.18, ハイディ・グラント・ハルバーソン、E・トーリー・ヒギンズ