春は別れや出会いの時期と言われています。上司や同僚など職場だけでなく、ママ友などプライベートでも新しい出会いが待っていますね。相手がどんな人かわからないと、どんな言葉をかけたらいいのか戸惑い、緊張してしまう方も多いのではないかと思います。
■ 「話し上手」ではなく、「聴き上手」になろう
実際、「自分は楽しい話題を振ることもできないし、新しい人間関係をつくるのが苦手なんです」という相談をよく受けます。まるで、お笑い芸人さんのように自分が話をリードして、さらに笑いもとらなければならないと考えているようです。
ですが、「話し上手」になる必要はありません。私たちは自分の話を話したい、聞いてもらいたいと思っているのです。ですから、「聴き上手」になればよいのです。「聴き上手」つまり、相手の話に耳を傾けて聴くこと。うなずいたり、相槌をうったり、時には相手の言葉を繰り返すなど、こちらが「聴いていますよ、わかろうとしていますよ」という態度が大切です。
アラフォー女性であれば、職場で新入社員が部下になったり、あるいは指導を任されるという機会もあることでしょう。そんな時、「教える、指導する」だけでなく、相手がこれまでどんな経験をしてきたのか、どんなことに興味があるのか、どんなことに困っているのか、耳を傾けてみましょう。
■ 相手の気持ちもわかろうとすること
さらに、明治大学教授、臨床心理士の諸富祥彦氏は、
普段私たちは、相手の「言葉」に反応をしがちです。(中略)「言葉」だけでなく、相手の「気持ち」にも耳もこころも傾けることが大切なのです
と、傾聴の基本的な態度について説明しています。
相手が言い訳をしてきたような時は、「そんなのは、言い訳でしょう?」と言葉に反応するだけではなく、その言葉の背後にある相手の気持ちにも注意を向けてみましょう。もしかしたら本人が「みじめさ」や「悔しさ」を必死に隠そうとしているのかもしれません。相手の気持ちに寄り添うことができた時、信頼関係を築くことができるのです。
[執筆:高橋 雅美(心理カウンセラー)]
【参考】
※ 諸富祥彦(編)(2011)『人生にいかすカウンセリング 自分と見つめる 人とつながる』有斐閣、pp.48より