結婚や育児などで離職しブランクがあると、いざ仕事をしようと思ってもタイミングを迷ったり、社会復帰できるか不安になったりしやすいもの。近ごろ筆者の周囲では、「まずは週1〜3日程度のパートか派遣で復帰したい」という声をよく耳にするのですが、子どもの急な体調不良や保育所の関係などで、社会復帰がなかなか思うように進まない……という人も少なくありません。
■1. マイナスにとらわれ過ぎない
小さな子どもがいるママには当然「制約」があります。制約というと、否定的なイメージがあるのですが、株式会社ワーク・ライフバランスの小室淑恵社長は、著書(※1)の中で「制約はチャンス。マイナス面にこだわりすぎず、制約を肯定的に捉える発想の転換が必要」と綴っています。もちろん、平然と「子どもがいるから休んでも仕方ない」というスタンスでは周囲から反感を買ってしまいそうですが、制約をバネに効率的に動き結果にコミットできれば周囲からの反応も変わってきます。家庭と仕事を0か100かで捉えると辛くなるので、まずは同時並行で動き出すところからはじめてみましょう。
■2. 「働きっぷり」にフォーカスしよう
とはいえ、働くママにとって「急な出来事」はつきもの。子どもが小さいうちは、突然保育所からお迎えの電話がかかってくることも少なくありません。「時間」という括りではどうしても柔軟性に欠けるので、単身者が多い職場などでは気後れしてしまうケースもあるでしょう。実はここにこそ、発想転換のヒントが隠されています。働くママは、ぜひ「量より質」で勝負してほしいのです。「時間」という量的なものさしではなく「働きっぷり」という質的な部分にフォーカスし底上げしていくことで現状は変えられます。
■3. 「時給マインド」を抜け出すことからはじめよう!
働きっぷりにフォーカスするためには、マインドセットの変更が欠かせません。パートや派遣などの時間労働で働く人は、大抵「時給」でお給料をもらっていますが、決められた時間に職場に行き、与えられた仕事をすればお給料がもらえるため、「仕事はやってもやらなくても一緒」「売れても売れなくても関係ない」という思考に陥りやすくなります。人材育成コンサルタントの太田彩子さんは、これを「時給マインド」と呼び、働く時間を「学びと成長の時間」と捉えられれば「お金をもらいながら勉強させてもらっている」という意識に変わると説いています。
ママならではの視点は、実際、ものづくりの現場などでも重要視されていますので、消費活動にも疑問や自分なりの考えをもって過ごしているといざという時に役立つこともありそうです。
筆者も一時的に仕事をセーブした時期があるため、ブランクへの心配はよく分かります。けれど、ブランクや主婦の経験も立派なキャリア。ぜひ自信をもって社会復帰してくださいね。
[執筆:渡辺さちこ]
【参考】
※ 小室淑恵(2011)『ラクに勝ち続ける働き方』幻冬社
※ 太田彩子(2012)『これからも働き続けるあなたへ』大和書房