2015年8月25日の『日経新聞』によれば、厚生労働省は、働きながら乳幼児を育て、ベビーシッターを利用する会社員の税負担を軽くする方針とのこと。税負担が軽くなると聞くと期待したくなりますね。その内容はどういうものなのでしょうか。
2015年8月25日の『日経新聞』によれば、厚生労働省は、働きながら乳幼児を育ててベビーシッターを利用する会社員の税負担を軽くする方針とのこと。税負担が軽くなると聞くと期待したくなりますね。その内容はどういったものなのでしょうか?
■ 対象は会社員だけなの?
今回の対象は会社員のみとなっています。その理由は、会社員でも経費が控除される「特定支出控除」というものがあり、今回の制度ではこの特別支出控除を利用して、税負担を軽くする方式なので、会社員以外は対象にならないのです。
通勤費用や引越し費用、研修にかかる費用、資格取得のための費用など8つの項目があり、特定支出にあたる支出が給与所得控除の半分を超える場合が対象となります。この8つの項目に、ベビーシッター費用を加えようというものが今回の内容になっています
■ ベビーシッター代が控除になるのは嬉しいけれど
ベビーシッター代が控除になると聞くと嬉しいですね。しかし、内容をよく考えると、会社員全員が控除を受けられるのではなさそうです。
例えば年収が360万円でシッター代が毎月3万円かかり、36万円が特定支出額となった場合で考えてみたいと思います。
・36万円-((360万円×20%+54万円)×1/2)=-27万円
この場合は、合計金額がマイナスになり、特定支出控除を受けられる金額に達しておらず、控除にはなりません。
次に保育園に入れなかったために、年収360万円でシッター代が毎月12万円かかり、144万円の場合です。
・144万円-((360万円×20%+54万円)×1/2)=81万円
この場合は、81万円の控除ができるようになります。
しかし、ひと月の保育料だけで12万円というのは、保育料の負担が大きいため、現実的ではないかもしれません。
■ 所得控除があると何がいいの?
確定申告によって、払いすぎた所得税が返金されたり、翌年5月以降に支払う住民税の金額が多少ですが安くなります。返金されたり、住民税が多少安くなったりするのは、税金を支払っている側からすると、非常に嬉しくありがたいこと。
所得控除によって、税金が安くなるのはありがたいことですが、ベビーシッターの利用料金は高いため、あまり利用できないのが現状だと思います。この結論はまだ出ていませんが、控除になるのであれば、結論が早く出てくれるといいですね。
[執筆:三木 育美(保育情報アドバイザー)]
【参考】
※ 『日本経済新聞』「シッター代 所得控除 厚労省検討、仕事と育児両立支援」2015年8月25日
※ 児童福祉法では「保育所」の表記が本来の名称ですが、一般的ではないため、本記事では「保育園」と記載しています。