筆者が夫婦問題に特化したカウンセリングを行うようになって10年が経過しましたが、この間、結婚・離婚に対する意識は刻々と変化し続けてきました。それは、ワード(言葉)にも反映されています。結婚・離婚にまつわる代表的なワードを紹介します。
■ 結婚に関するワード
「授かり婚」とは、言葉通り、妊娠が発覚してから結婚すること。おめでた婚、できちゃった婚とも呼ばれます。昔は、婚姻前に妊娠することは不謹慎なことでしたが、今は芸能ニュースでも、結婚報告とともに「妊娠はしていないようです」とわざわざアナウンスするほど、妊娠判明をきっかけに結婚する夫婦が増えています。
年の差や収入格差などの「格差婚」。同性同士の結婚を意味する「同性婚」。結婚に恋愛を求めない「友情結婚」。交際期間ゼロで結婚する「いきなり婚」という言葉もあります。
また、結婚生活のスタイルを意味する、「別居婚」「通い婚」「週末婚」という言葉もあります。夫婦が常にべったり一緒にいる必要はない、という考え方が広がっているのですね。
結婚の卒業を意味する「卒婚」とは、婚姻関係を結びながら、お互いを尊重し、場所や役割にとらわれずに生活すること。おもに子育てを終えた熟年世代が関心を寄せています。
最近は、テレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」で共演した星野源さんと新垣結衣さんの結婚が「逃げ恥婚」と呼ばれ、話題となっています。ドラマの中では「契約婚」や「事実婚」という言葉が出てきました。
■ 離婚に関するワード
離婚に関するワードもいろいろあります。
妊娠を望んで活動している夫婦が、なかなか子に恵まれず、経済的・精神的な負担などから夫婦間に隔たりが生まれて離婚に発展する「妊活離婚」。出産後に夫婦関係が崩壊する「産後クライシス離婚」という言葉もあります。
「ペット離婚」は、犬や猫などペットに対する考え方の違いやお金の使い方などが原因で離婚に至るケース。「可愛がりすぎる」「贅沢すぎる」といった不信感から溝が入るようです。別れる際、ペットをどちらが引き取るのかについても問題となっています。このほか、定年後の生活の変化による「定年離婚」や介護疲れによる「介護離婚」もあります。
■ 新しい結婚のカタチ
SNSなどで、結婚観について調べると、多重恋愛の価値観をもつ「ポリアモリー」や「ノンモノガミー」という概念も存在します。これは、恋愛関係のすべてのパートナーの同意を得て親密な関係をもつこと、または持ちたいと願うこと。
結婚に対する意識や価値観がさらに多様化しています。さまざまな夫婦の形が選択できるようになったいま、改めて「結婚」とはなにかについて考えさせられます。
[執筆:渡辺 里佳(夫婦関係・離婚カウンセラー)]
※写真:PIXTA、本文とは直接関係ありません