待機児童ゼロになる時代を女性はどう感じているか。前編では、復職意向により3つの女性タイプにわけ、主に職場復帰したケースを挙げました。後編では、「自力で育児をする」ケースについて考えてみます。
■ 保育サービスを利用する罪悪感
「専業主婦として育児に専念したい」女性と「心決まらぬままタイムアップとなり、仕事に復帰する」女性については、「子供を自力で育てたい」という想いや理想があり、多くの方が、保育園等の保育サービスを利用すること自体に罪悪感をもっています。自分で稼いでいないので、お金を払って保育を他人に委ねることへの抵抗感がある方もいます。
もちろん、自力で子供を育てることは素晴らしいこと。ですが、毎日24時間ずっと育児だけに取り組んでいると、行き詰ることも多いと聞きます。地域のママサークルとうまくいかず「ひきこもるママ」もいます。思い通りにはいかない育児。うまく保育サービスを利用して息抜きをしたいものです。
■ SNSやママトークが母子の絆を弱める!?
昔から、幼少時(特に0~3歳)は母親のもとで育児をしないと悪影響がでると信じられてきました。いわゆる”三歳児神話”です。しかし、最近の調査では、幼少から保育園に預けるか否かで、母親との結びつきの強さは変わらないことがわかっています。過去20年以上の調査を行っている米NICHD調べによると、単に母親が一緒にいれば良いわけではないとか。子供と一緒にいるときに、親が子供にあまり注意を払わない時間が一定以上あると、母子の絆が弱くなるという結果が出ています。例えば、母親がママトークやSNS等に熱中し、子供に注意を払わなければ、子供は母親から愛されていないと感じて、母子の絆は弱まるのです。
■ 保育園に預けると発達によい影響!?
早期に保育園に預け始めたほうが、言語能力や認知の発達によい影響があるという研究結果も多数あります(CCKMまとめ)。保育士による学習指導や他の子供とのやりとりが、子供の脳に良い影響を与えるようです。
その一方で、長時間(週30時間以上)保育園に通った子供は、そうでない子供に比べて幼稚園での問題行動がやや多い傾向が報告されています。NICHDの調査では、保育園云々の問題ではなく、親と子の関係性が一番大事だと結論づけています。
これらの調査から言えるのは、重要なのは母子の時間の絶対的な“量”ではなく“質”だということ。母親は自分だけの時間を楽しみ、保育園から戻ってきた子供にたっぷりの愛情を注ぐ。そんなメリハリある交流が、子供の情緒を落ち着かせ、より親子の信頼関係をつくることができるのです。
女性の産後は、職場復帰の場合も、育児に専念する場合も悩みは尽きません。特に「心決まらぬまま復職する」女性は、仕事のストレスと保育園に預ける罪悪感とで、心境は穏やかではありません。単純に保育園を確保するだけでなく、夫をはじめ周囲の理解と協力、そして母親の重責感の一部を負担してあげ、質のよい親子の時間をもつことが子供にも母親にも良いと思うのです。
[執筆:マキコ・アサエダ(産後ライフプランナー)]
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【参考】
※The NICHD Study of early child care and Youth Development
※CCKM“ What’s better for children’s development, home or centre care?”