待機児童解消がなかなか進まないなか、ワーキングマザーにとっては、勤務する職場に「企業内保育所」があったら助かる! と思いがちですが、そこには意外なデメリットも。今日は「企業内保育所」について考えてみましょう!
■ 企業内保育所の現状
平成23年の厚生労働省の調査によると、全国にある「事業所内保育施設」は約4100カ所。ただし、その6割は女性の多い職場である病院内の設置で、一般企業の取り組みは意外にもまだ少ないのです。定員や面積など一定の基準を満たせば運営費などを助成する国の制度はあるものの、費用や場所を確保するには企業側の負担も大きいのが現実。なんと企業によっては自社社員では利用者が定員に達せず、近隣の企業にも募集を出すケースもあり、営業面での課題もあります。
■ 子どもに近いことが一番のメリット
なんといっても職場に保育所があることで一番のメリットなのは、子どもに近いこと。
- 熱を出してもすぐに駆けつけられるという安心感
- 休憩時間に様子を見に行くこともでき、子どもも親の働く姿を間近に感じられる
- 震災など何かあっても、子どもと離ればなれになるリスクが少ない
など、普段不安に思っていることでも、保育所が職場内にあることで、かなりワーママの心配を減らしてくれると言えます。また、企業内保育所はいわゆる民間の認可外保育所扱いにはなりますが、預かり時間が認可保育園に比べて長いことも魅力のひとつでしょう。
■ 意外と知らないデメリットの数々
こうしてみると良いことばかりなイメージの企業内保育所ですが、そこには意外なデメリットも。
- 会社までの通勤ラッシュのなか、赤ちゃんを連れていくのは大変
- 企業内保育所はビル内の環境がほとんどで、園庭が無いため運動不足が心配
- 親が体調不良で会社を休みたい時には預けられない
- 預かる人数が少ないためアットホームなのはいいが、集団生活を通した学びが少ないのでは
- そもそも東京の本社に1つだけしかないので、利用できる社員が限られる
など、利用しにくい側面もあるのです。
■子どもの年齢で変わる必要条件
赤ちゃんの頃は熱を出すことも多く、健康面では親の近くにいるメリットが大きいですが、2歳を過ぎると病気の心配はぐっと減ります。おそらくワーママが企業内保育所を利用することの一番のネックは、子どもが大きくなってきたら他の保育園を探す必要があること。3歳以上ともなると、屋外の運動環境や友達を作れる集団規模も、子どもの成長を考えると用意してあげたい要素です。企業内保育所は、便利だけれど万能ではありません。子どもの成長に合わせて、最適な保育環境を選びたいものです!
[執筆:藤崎 葉子(キャリア アドバイザー)]
【参考】
※「平成23年度 認可外保育施設の現況取りまとめ」厚生労働省(平成25年3月27日発表)PDF