前編では、女性管理職を取り巻く背景や最近の傾向をお伝えしましたが、後編では、管理職というチャンスを上手にモノにしてしまう発想をご紹介します!
■ 時短勤務中でも管理職は務まる?
以前は女性管理職というと、独身あるいはDINKSの女性が中心でしたが、最近では育児で時短勤務中の女性でも管理職となるケースをよく耳にします。実際に時短管理職の方からは、「自分が早く帰って不在の間も、仕事は動いている。その部分をどう対応するかが死活問題!」と大変さを語る声が。しかし一方「仕事そのものを担当するのは部下。フォローはするけれど案件を持たない立場は意外と裁量が効く!」とマネジメントする側のメリットを感じる方も。本来、管理職になると勤務時間に対して労働する立場から、時間の概念を外して成果や結果に責任を持つ立場に変わります。そもそも、時短かどうかなんて関係無いという見方もできるんです!
■ オレ(私)についてこい! 型リーダーはもう古い?
リーダーシップというと、「オレについてこい!」と強い態度で周囲を引っ張るシーンを想像しがちですが、態度や声(影響力)が大きくて怖いからと人がついていくとき、それは強制力であってリーダーシップではありません。
5年ほど前、人材育成の分野では「サーバント・リーダーシップ」という考えが提唱されました。人に尽くし奉仕する人=サーバントこそが、よりよいリーダーになるという発想です。アメリカで生まれ、日本では神戸大学の金井壽宏教授により紹介されたこの考え方。実際に大手化粧品メーカー資生堂で導入され、経営改革に成功しています(※1)。
引っ張るのでははなく支える、受容や共感、癒しを持ち、気づきや直感に優れるといった持ち味を特徴とするのが、サーバント・リーダー。これこそ女性の得意分野ではないでしょうか?
■ リーダーシップは資質ではない?
私が前職で研修会社の立ち上げを一緒に行い、尊敬する講師の一人でもある森田英一氏曰く「リーダーシップとは生まれついた資質ではない」と言い切っています(※2)。仕事柄たくさんの管理職研修に同席してきましたが、リーダーといっても人それぞれ特徴や強みが異なり、なんでもできるカリスマリーダーなど現実にはいません。それに、最初はみんな新米リーダーですし、それぞれの場に応じて必要なリーダーシップを育み磨いていくものなのです。こう考えると少し気が楽になりませんか?
■ 健康管理に気をつけて
とはいえ、私も初めて管理職になった時は、部下達の勤務時間外で管理職が全員集まりやすい早朝や夜に会議が設定されることが多く、体力的に辛かったのを覚えています。私の身近でもいったんは管理職に昇進したものの、体調を崩して自ら役を退いた方も少なくありません。管理職でも役員クラスの女性の方々は、皆さんジム通いは当たり前だったりします! メンタルもフィジカルも強くないと楽しく管理職ライフを送るのは厳しいので、自分なりの健康法や体力アップができることも管理職の隠れた資質かもしれませんね。
新しい時代、結婚も子育ても管理職も!? しなやかにこなす女性が増えることを応援しています!
[執筆:藤崎 葉子(キャリア アドバイザー) ]
【参考】
※1. 池田守男、金井壽宏(2007) 『サーバント・リーダーシップ入門』かんき出版
※2. 森田英一(2012)『誰も教えてくれない 一流になれるリーダー術』明日香出版社