厚生労働省は10月1日、男性社員が積極的に育児参加できるよう取り組む企業を表彰する「イクメン企業アワード」の受賞企業を初めて発表しました。49社の応募の中から花王(東京都)と医療法人社団三成会(福島県)がグランプリに選ばれました。イクメンの多い会社ではどんな工夫があるのでしょうか?
■ 育児は男女で強力しあうもの
花王株式会社は、2011年には公益財団法人日本生産性本部主催する「ワーク・ライフ・バランス大賞」にて優秀賞を受賞した他、今年3月経済産業省と東京証券取引所が共同で主催する「なでしこ銘柄」にも選定され女性活躍推進に優れた企業として表彰されています。同社ではワーキングマザーの対話の場として「マミーズランチ」を設けたり、男性社員の育児参加を進める「パパの育児マネジメント講座」を実施し、「育児は男女で強力し合うもの」という啓発を行っているそうです(※1)。男性の育児休業の取得率30%~40%に達する(※2)というから驚きです。
■ 男性社員から「育休を取得したい」の声
同じくグランプリを受賞した医療法人社団三成会では、職員アンケートで男性の58%が「育児休業を取得したい」と回答したことから、職員が仕事と家庭を両立させることを目標に、職員全員が働きやすく、能力を十分発揮できる環境づくりを推進したとのこと。育児休業者の感想文を社内報に掲載して「イクメン」の周知徹底を図ったり、業務のマニュアル化や簡略化を進め、リーダー的な男性職員も休業しやすい環境づくりを実現しているそうです(※3)。
■ やればできる?
そもそもなぜ男性社員が育休を取りにくいのか? 東京都が実施した2012年度の「男女雇用平等参画状況調査結果報告書」によると(※4、複数回答)、男性の育休取得の課題として最も多かったのが「代替要因の確保が困難」。企業、従業員ともに約6割が理由に挙げています。次いで、企業では「男性自身に育児休業を取る意識がない」が5割弱、従業員では「休業中の賃金補償」が5割強となっており、男性の育児休業はなかなか進まないのが現実。しかし、イクメン企業がこうして発表され、実際に男性の高い育休取得率を達成していることを知るだけでも価値観を変えるきっかけになるのではないでしょうか。
[執筆:藤崎 葉子(キャリア アドバイザー)]
【参考】
※1. 花王株式会社 HP「社員一人ひとりが持てる力を十二分に発揮し、やりがいを持って働ける環境づくりを推進。」
※2. 日経新聞10月1日WEB版記事より
※3. 医療介護 CBnews 「福島の医療法人に初代イクメン企業アワード- 厚労省、育児休業取得を評価」(10月1日ニュース)
※4. 東京都 2012年度「男女雇用平等参画状況調査結果報告書」PDF