10月3日の「子ども・子育て会議」にて、政府は新たな案をまとめました。保育情報アドバイザーの観点から、内容を解説したいと思います!
■ 新案の内容とは?
認可保育所など、国の補助がある保育施設を利用できる対象者の利用要件が緩和され、求職中や就学中の人にも拡大されるようになります。そして、多様な働き方を支援する観点から、パートタイム労働を含む働く人すべてが利用できるようになります。
現在は、認可保育所に子どもを預けられるのは、下記5つの要件にあてはまる場合です。
・昼間に常時労働している
・妊娠や出産
・保護者の疾病、障害
・同居親族の介護
・災害復旧
上記5つに当てはまらない場合は、区市町村の各自治体の判断となり、保育所への待機児童の多い都市部では申請さえ断られているケースもあるようです。例えば妊娠や出産などの場合、母が入院をしている場合などはその期間だけ一時保育として保育所が預かり、退院後は直ぐに自宅にて保育をする必要があります。
このように、潜在的な待機児童が減る方向となりました。
■ 待機児童は本当に減るの?
潜在的な待機児童を減らす方向となってはいますが、申込枠が拡大したため、申込者が増えることが予想。現実的には、待機児童は減らないのではないかと思われます。
さらに、現時点で課題となっている「保育士不足」については案の中では考慮されていません。たとえ申込ができたとしても、保育士が不足してしまっていたら、施設の運営は成り立たないのでは? と思えるのですが……。
■ 気になる財源は?
気になる財源ですが、来年度から値上げする消費税分から7,000億円を充てるとのこと。認可保育所や小規模保育などの施設整備を進め、保育の受け皿を約20万人分確保する方針となっています。本当に財源が確保できるのであれば、施設整備は期待できそうですが、さらには施設だけでなく、保育士の賃金アップなど働く環境整備も配慮が必要かもしれませんね。
子ども・子育て新システムが当初予定されていた、認可保育所と保護者との直接契約ではなくなったので、少し安心しました。筆者自身も子どもを持つ親として、直接契約の場合には、保育所が選べる側になってしまう懸念が強くありましたが、その点もなくなり一安心です。ですが、保育士不足という課題は十分に残っています。施設という箱だけではなく、中身をどうするのかについても期待しています。
[執筆:三木育美(保育情報アドバイザー) ]
【参考】
※ 『毎日新聞』2013年10月03日「保育所:「認可」利用要件拡大…休職中、パートも 政府案」