母親からの過干渉や依存、そして「毒親」など、母娘関係に悩む女性のニュースを目にする機会が増えました。
一万部を超えた小川雅代氏の著書『ポイズン・ママ』、田房永子氏の著書『母がしんどい』など、今まで表立って語られることのなかった母娘関係の確執やこじれが、世の中で語られ始めていると感じます。
インターネットの掲示板などでも母娘関係のお悩み相談はよく見受けますが、本質的な解決策は提示されていない様子…。母娘関係に悩んでいる場合は、本質的な解決に向けてどのような行動をとればいいのでしょうか?
家族問題をテーマにした「家族療法」を提供している心理カウンセラーの恩田智恵子先生に話を伺いました。
■ 母娘関係を改善したい…家族療法とは?
恩田先生が提供しているのは、心理カウンセリングの中でも「家族療法」という手法です。これは心理学の臨床アプローチのひとつで、「家族(的な役割の人々)」と自分との位置・力関係を知ることで、自分の考え方のクセを知り、生きづらさを解消していくというもの。ニューヨークのアッカーマン研究所などが有名です。
■ 家族療法カウンセリングでは、このように家族関係を紐解く!
実際のカウンセリングでは、相談者とカウンセラーが1対1の対話をしていきます。カウンセラーにもよりますが、恩田先生の場合は、所要時間はだいたい60分~90分で、質問をしながら状況を紐解いていくのだそうです。
相談者が上手に整理して話せなくても問題はなく、家系図を書いてもらったりしながら質問していくので、相談者も話しながら本人自身も気がつかなかった発見をしていくのだとか。これなら緊張しやすい方でも、どんどん話ができそうです!
■ 家族療法で何が分かる? どんな効果がある?
恩田先生いわく、カウンセリングを受けた方からは「スッキリした」「発見があった」「目からウロコだった」などの感想が出てくるそうです。
家族療法のカウンセリングの効果は、まさに「起きていた状況を客観的に見ることができるようになる」こと。えっ? それだけ? と思われるかもしれませんが、友人知人に自分の家族の問題を話しても、重い話だと負担をかけたり、「わかる! ウチも!」と勝手に解釈されたり、単なる愚痴だと思われたりして、本質的な解決につながることはほとんどありません。それどころか、「あの人は母親の悪口を言っていた…」としてあなた自身の人間性を疑われる可能性もあるのです。
「客観的に見る」ためには、誰か、信頼できる中立的な視点が必要なのですよね。
プロのカウンセラーに相談する良さは、安心して遠慮なく話せること。カウンセラーには相談内容を漏えいしない「守秘義務」があり、話を聞く「傾聴」という技術、そして心理療法を行う専門知識があるので、安心して相談することができるのです。
自分自身を見つめ直すきっかけになりますので、母・親子・家族の関係で苦しんでいることがあれば、一人で抱えずに家族療法を扱える心理カウンセラーと話をしてみてはいかがでしょうか。もちろん、恩田先生のカウンセリングも一般受付をしています!
[執筆:菅野彩子(ノーツマルシェ編集部)]
【取材協力】
恩田智恵子(おんだちえこ)/心理カウンセラー、認定臨床心理療法士。家族療法・箱庭療法、悲嘆療法(グリーフケア)を得意とし、小学校入学前のお子様から70代の高齢者まで幅広くカウンセリングを実施。とくに20代から40代の女性を数多く担当しています。(家族療法・母娘問題を扱うカウンセラー情報)
【参考】
※ 小川雅代(2012)『ポイズン・ママ―母・小川真由美との40年戦争』文藝春秋
※ 田房永子 (2012)『母がしんどい』新人物往来社