男性に育児参加を促す声が拡がり、イクメンも珍しくなくなりました。ところが厚生労働省の調査(※1)によれば、平成24年度の男性の育児休業取得率は1.89%、前年度は2.63%。男性の取得率は平成19年~22年まで1%台で推移しており、まるで元に戻ってしまったかのよう。イクメン事情は、どのようなものでしょうか?
■ デメリット
1.収入が減る
男性社員に限りませんが、育児休業中も会社から休業前と同じ額の給与が支払われることは少ないでしょう。ただし育児休業給付金制度により、休業期間中は給与の50%が雇用保険から支払われます。もしも夫の収入のほうが多く、数か月休業するならば、この点を覚悟しましょう。
2.パタハラに遭う可能性が?!
日本経済新聞の記事(※2)によれば、「パタハラ」も少なくないとか。パタハラとは、男性部下の育児参加を上司が妨げることを指すそう。例えば、育児休業制度の利用を認めない、育児は母親の役割と言うなど。記事によれば、子どもを持つ男性を対象にした調査では、その12%がパタハラを受けた経験「あり」だとか。
■ メリット
筆者は、東京都が認定したワークライフバランス企業で、男性社員の育児休業取得第1号になったAさんに話をお聴きしたことがあります。第2子誕生時に、思い切って14日間の育児休業を取ったAさんのメリットは2つ。
1.働き方を効率アップできた
家事の段取りや、優先順位を考えて行った経験が、限られた時間内に成果を出す働き方に大いに役立つ。
2.妻と、より理解し合える
妻の感想は「大変な思いをしたときに側にいてくれて、同じ時間を共有できたことが嬉しかった」ということ。
その後、Aさんに続いて4人目の男性育児休業取得者が誕生し(当時)、“いい流れ”が生まれたと会社で好評を得ました。また、Aさんが休業することに対して、上司も後輩も好意的で恵まれた状況だったともいえるでしょう。
とはいえ、周囲が応援してくれる職場環境は、それまでのAさんの仕事ぶりが創り出してこそですね。いつ何があっても、お互いにサポートし合える職場の関係づくりは、やはり大事なのですね!
[執筆:五十嵐 ゆき(キャリアコンサルタント) ]
【参考】
※1. 厚生労働省「「平成24年度雇用均等基本調査」の概況」(2013年7月4日発表)PDF
※2. 『日本経済新聞』2014年2月12日「「パタハラ」どうなくす?」