女性の年齢と妊娠の関係で話題を集めた「卵子の老化」。では、「精子の老化」はどうでしょうか? 聞いたことがない、というより「そもそも精子は老化なんてしないでしょ?」という声が聞こえてきそうですね。一般に、男性はいくつになっても子どもをつくる能力があるというイメージが強いようなので無理もないのでしょうけれど……。

先日、男性の精子も年齢を重ねると受精能力が低下する可能性があるという研究内容が発表されました。

 

■ 男性も35歳から精子の能力が低下!? 背景には個人差が

独協医大越谷病院泌尿器科の岡田弘教授らのグループが行った精子能力調査(※1)によると、35歳未満の男性の精子では約7割に活性化能力があったのに対し、35歳~39歳では62%、40歳~44歳では52%、45歳~49歳では39%と、35歳を境に低下したとのこと。45歳以上では35歳未満の男性より30ポイント近く低くなることから、やはり男性も加齢と精子能力の低下には関係があるといえそうです。

ただし、すでに子どもがいる(妊孕力がある)男性は、年齢に関わらず機能低下の程度は軽微だったとのことから、老化には個人差が大きいと考えられます。

 

■ 男女間で異なる老化のスピード

女性の卵子は、男性の精子のように日々製造されているのではなく、卵子の元となる原始卵胞が生まれながらに備わっています。そのため卵子も自分と同じだけ年を取って40代半ばになるとほとんどの人が妊娠できなくなり、できても半数は流産してしまいます。

このように、女性は一定の年齢で劇的な変化が起こりますが、男性の場合はゆるやかな衰えで個人差も大。ですから、女性ほど加齢で子どもをあきらめなければならない状況にはなりにくいようです。

 

とはいえ、男性が初めて父親になる年齢の全国平均は32.3歳と高齢化が進行中。今回の研究内容から、男性も35歳を過ぎたら高齢出産と捉えるのが大切だといえますね。

[執筆: 渡辺 さちこ(「妊きゃりプロジェクト」主宰), 4月25日]

 

【参考】
※1. 男性不妊外来を受診した男性のうち、精子の形態や運動能力に異常が見つからない80人分の精子を採取、マウスの卵子に顕微授精させ分裂を促す活性化能力があるかどうかを調査したもの
『読売新聞』2014年4月17日夕刊「精子も35歳から老化 独協医大調査 受精能力低下の可能性」