日本労働組合連合が今年2月に発表したアンケート調査(※1)によると、働く妊婦の4人に1人が流産や早産を経験しています。妊娠12週までの流産は胎児の染色体異常が主な原因とされていますが、早産については働き過ぎがリスクを高めるといわれており、妊婦の労働環境が問題視されはじめています。

 

■ 働き過ぎの実態

NHKの取材によると、全国の労働局への相談で目立つのが非正規雇用の女性からの訴えだそう。つわりなど体調不良を訴えると退職を勧められたり、契約打ち切りを示唆されてしまい、我慢して無理がたたるケースが多いようです。一方、雇用が安定している正社員も労働過多になりがちで4人に1人が妊娠中も残業しています。妊娠中も以前と同様の成果を求められる、職場復帰を考えると産前に頑張らざるを得ない、早退しにくい雰囲気が漂っているなど。企業によっては妊娠が人事評価に影響するケースもあるようで、悲鳴をあげながら働き続けている実態がうかがえます。

 

■ 安定期だから大丈夫! は、危険

安定期に入れば、ガツガツ仕事をしても大丈夫だと思っている人も多いのではないでしょうか?

安定期とは一般に妊娠5ヶ月のはじめ、16週~をいいます。この頃の流産率は10%未満といわれていますが、今回の取材では12%の方が流産していたことがわかりました。12週以降の流産は母親の働き方を含む生活環境(立ち仕事、長時間労働、ストレスなど)が原因である可能性が高いとされているので、この数字は筆者としても胸が痛みます。

また、医師より「早産の危険あり」と診断されたにもかかわらず、職場で十分な配慮を受けられなかった人も3割弱いたことがわかりました。早産は22週(6ヶ月半ば)から36週(10ヶ月のはじめ)の間に赤ちゃんが産まれてしまうことをいいます。早産は赤ちゃんへのリスクが高くなるので、可能性を指摘されたら安静にしなければなりません。妊娠7ヶ月で引っ越しを経験した筆者もこのときお腹が異常に張ってしまい、慌てて安静にした経験があります。

安定期はあくまでも、胎盤が完成する時期をさすもの。赤ちゃんの成長はこれからが本番なので、油断は禁物。「安定期は安心期ではない」ということを肝に銘じておきたいところです。

 

■ 適正な働き方はあるの?

個人で体力の差があるように、適正な働き方も一概にはいえません。とはいえ、明らかなオーバーワークは絶対に避けるべきです。愛育病院の中山正雄医師は、働くボリュームを普段の7~8割程度に、と警鐘を鳴らします。定期的な妊婦検診を受けていれば異常の早期予防にもなります。

働く側も、妊娠中の女性を抱える職場側もきちんとした知識をもち、妊娠期を安全に過ごせるよう、社会全体で今後ますますの配慮が必要といえますね。

 

[執筆:渡辺さちこ, 2015年3月4日]

 

【参考】
※1. 日本労働組合連合「働く女性の妊娠に関する調査」
NHK『クローズアップ現代』2015年2月24日放送「どう守る 妊娠中の働く女性」
一般財団法人女性労働協会