いよいよ今年の12月1日より、企業でのストレスチェックが義務化されることになりました(※)。筆者もストレス対処関連のセミナーのご依頼をいただくことが増えてきましたが、この季節は新年度が始まり、環境の変化からストレスを抱えてしまうことも多くなりがちです。今回はストレス対処においてとても大切な行動についてご紹介します。

 

■ エンジニアAさんの事例

Aさんは、あるITコンサルティング企業に転職して半年のエンジニアです。前職での経験を高く買われ、入社早々新規プロジェクトの主任に任命されました。プロジェクトチームは若手が多く、スキルが高いAさんは若手からもチーム責任者からも頼りにされ、仕事もたくさん任されています。

そんなAさん、この1ヶ月ほど顔色が優れず、傍から見ても元気がない状況になっていました。久しぶりに会ったAさんの友人が心配して、カウンセリングを受けたほうが良いと散々助言。半ば強制される形で、Aさんはカウンセリングにやってきたのでした。

 

■ SOSを出せることも、立派なストレス対処法

今回のケースでは、様子がいつもと違うことに気づいた友人のおかげもあり、カウンセリングを数回行う中でAさんは元気を取り戻しました。Aさんがカウンセリングの中で言っていた言葉で印象的だったものが「弱音を吐くようで、なかなか助けてって相手にいってはいけないと思っていました」ということでした。Aさんに限らず、「助けを求めることは悪いこと、弱みをみせてはならない」と考えてしまう方は少なくないように感じていますが、それは大きな誤解なのです。

問題や悩みを自分の力だけでは解決できないと感じたとき、誰かに相談したり、助けを求めたりすることを「援助希求行動」と呼びます。これは問題を他人に丸投げすることではなく、「自分でできることはここまでで、これ以上は自分ではできないから助けてほしい」と、自分のできる範囲とサポートしてほしい内容を明確化する行動です。これは問題を整理し解決を図るための積極的ストレス対処法といえます。

 

■ もっとも簡単なストレス公式

ストレス= 問題・悩み / リソース(資源)で表せます。つまり、同じ問題・悩みであったとしても、相談できるリソースが多ければ多いほどストレスにはなりづらいことを意味します。自分ひとりでつらい思いを抱え込むよりも、ぜひ周りの人やカウンセラーに、SOSを適切に出せるようにしてください。

[執筆:浅賀 桃子(メンタル心理・キャリアカウンセラー), 2015年4月26日]

 

【参考】
厚生労働省 「2015年12月からストレスチェックの実施が義務になります」

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