筆者は夫婦関係・離婚カウンセラーとして、ご相談に来られたご夫婦から、それぞれ個別にお話をうかがう機会をいただくことがあります。そうすると、同じ事柄についてお話をうかがっているはずなのに、語られる内容はまるで違うという事態に遭遇することもしばしば。そんなとき、筆者の頭に浮かぶのは、だまし絵やトリックアート(以下、「だまし絵」と表記します)と呼ばれる絵の数々です。

 

■ だまし絵も夫婦間トラブルも、カラクリは同じ

有名なだまし絵に「ルビンの盃」というものがあります。これは、背景の黒い部分に着目すると向かい合っている二人の横顔のように見えるけれども、白い図柄に着目するとそれは盃に見えるという絵です。このようにひとつの絵ではあるけれども、見方によっては異なる見え方を持つ絵のことをだまし絵といいます。

夫婦の間でよく起こる、すれ違いや誤解も、そのタネとなった出来事について「何が見えたのか(どう見えたのか)」ということで生じるとすれば、それはだまし絵と同じカラクリだと思うのです。

 

■ 同じものを見ていても、同じに見えるとは限らない!

「ルビンの盃」を見たときに、ある人は「二人の横顔が見えた」と言い、ある人は「盃が見えた」と言います。それはどちらも間違いではなく、どちらも正解です。

同じように、家計でのある出費を一方は「浪費」と言い、一方は「必要不可欠の投資」と言うかもしれません。実家の親から子供へのはからいを一方は「勝手なお節介」と感じ、一方は「有り難い親切」と感じるかもしれません。でも、それはどちらが正しい・間違っているということではなく、だまし絵と同じように、同じものを見ていても、同じに見えているとは限らないというだけのことなのです。

 

■ まずは相手の目に何が見えているのかを確認

夫婦の間ですれ違いや誤解が生じてしまったときに大事なことは、どちらが正しいか、どちらが悪いかを判断しようとする前に、相手の目に「何が見えているのか」を確認することです。同じものを見ていても、同じに見えていなければ誤解が生じるのは当然です。自分が見ているものと同じものに、相手は何を見ているのか、どうしてそんな風に見えるのかを、まずは理解しようとすることが、すれ違いや誤解を大きくしないコツです。

「ルビンの盃」以外にも面白いだまし絵はたくさんあります。同じものでも見方によって見えるものは全然違うということを実感できますよ!

[執筆:糸瀬 彩湖(行政書士/夫婦カウンセラー),2015年9月30日]

 

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