産婦人科医の視点から妊娠出産の現状を描いたドラマ「コウノドリ」。その原作にこんなシーンがあります。病院の授乳室で生後3日の赤ちゃんに授乳をしようとするママ。赤ちゃんは泣くばかりで授乳が上手にいかず、「母親として当たり前のこともできない」と涙する母親に助産師の小松さんが言葉をかける。

「当たり前のことができなくて当たり前じゃん。だって親子になってまだ3日なんだもん。おっぱいをあげる方も吸う方も初心者なんだよ。~中略~この先10年、20年、30年40年って死ぬまで親子をやっていくんだよ。最初の3日で慌てる必要も心配する必要もないじゃん」(※1)

その言葉に新米ママは安心感を覚えリラックスをするのです。

 

■ 渦中にいる時は近視眼的になるものです

出産で体力を消耗しているうえに3時間おきの授乳で寝不足。初めての沐浴におむつ替えに授乳と、生まれたばかりの赤ちゃんのお世話はとまどうことばかり。「こんなこともできないなんて、私は母親失格なのでは?」と自分を責める新米ママもいるのも事実です。生後3日では当たり前のことができなくて当たり前、助産師の小松さんは客観的に的を射ています。現状を客観的に一歩引いて見るとその通りなのですが、とかく渦中にいる時は普段見えるものが見えないものです。

 

■ 気持ちに寄り添ってもらえるだけで楽になる

助産師の小松さんは新米ママを温かく包み込んでいるからこそ、客観的アドバイスは活きるのです。もしここで小松さんが無機質にアドバイスをしたのならば、新米ママを更に追い込んでいたことでしょう。「大丈夫だよ」と肩抱き寄せて気持ちに寄り添ってくれるだけで、心は落ち着きを取り戻し楽になるのです。

産後に心が辛い……。そんな時の一番の特効薬は、誰かにあなたの話を聞いてもらい、気持ちを受け止めてもらうこと。それだけで心がす~っと楽になりますよ。そんな時こそ心の取扱いのプロに相談することがお勧めです。相談後は心がぽかぽかと安心できることでしょう。

[執筆:久保木 惠子(コーチ), 2015年12月18日]

 

【参考】
※1. 鈴ノ木ユウ (2013)『コウノドリ』講談社
※ 写真:Taka / PIXTA、本文とは関係ありません