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ご存知ですか? 夫婦やり直しの約束に力を持たせる方法
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ご存知ですか? 夫婦やり直しの約束に力を持たせる方法

筆者は夫婦関係・離婚カウンセラー兼 行政書士なので、ご相談者様から公正証書についての質問を受けることがよくあります。そして、「離婚」の公正証書と同じくらい寄せられる質問が、「夫婦がやり直すため」の公正証書についてです。

 

■ 夫婦やり直しのために公正証書って作れるの?

例えば、「夫が浮気をして、もう二度と浮気しないこと、今度浮気したら離婚すること、そのときには○○万円支払うことなどを約束したので、それを公正証書にしたい」と思った場合、それは可能なのでしょうか?

可能か、可能でないかを一言で言うと、「可能」というのが答えです。なぜなら、筆者は夫婦がやり直すために作成された公正証書の正本を実際に目にしたことがあるからです

とはいえ、公証役場に「夫婦がやり直すための公正証書を作成してもらいたい」とお願いをすると、たいていは断られることになります。

 

■ 「夫婦やり直しのための公正証書は作らない」という公証人の方が多いかも…

ひとつには、離婚の意思というのは離婚届を出すそのときに必要とされているので、離婚の予約のようなものは意味がないこと。そしてもうひとつ、民法第754条に「夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる」と規定されているので、取り消されてしまうかもしれない約束を公正証書にしても意味がないということから、公証役場では作成を断られてしまうのです。

ただ、民法第754条については、判例によって「婚姻関係が破綻もしくは破綻に瀕した夫婦には適用されない」とされているので、「私たち夫婦は、今破綻に瀕しているからこそ、やり直すための公正証書を作成しようとしている」ということでクリアできることはできるのですが、やはりそれでも公証人の先生は首を縦にふらないことが多いでしょう。

 

筆者が利用をしている公証役場の先生にもお聞きしたところ「損害賠償の予約契約としてならギリギリで許容できるけれども、基本的に夫婦やり直しのための公正証書は作らない。こういう場合にお勧めなのは宣誓認証だ」とのことでした。

「宣誓認証」というのは、夫婦二人で公証役場に赴いて、その内容が嘘だった場合には過料に処せられることを承知した上で、公証人の前で宣誓した内容を認証してもらうというものです。

夫婦やり直しのための書面に何か力を与えたい場合には、公正証書だけではなく、宣誓認証も選択肢に加えて検討されてみてはいかがでしょうか。

[執筆:糸瀬 彩湖(行政書士/夫婦カウンセラー)]

 

※写真:voyagerix / PIXTA、本文とは関係ありません

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