2015年のニュースで大きく取り上げられたのが、夫婦問題カウンセリングを行う筆者にとっても興味深い「夫婦別姓」問題でした。夫婦別姓を認めない民法の規定は、「婚姻の自由」を侵害するとして、5人の男女が国に対して損害賠償を求めていた裁判のことです。

 

■ 夫婦別姓を認めない民法規定は「合憲」と判断

2015年12月16日、最高裁大法廷は「夫婦同姓の制度は我が国の社会に定着してきたもので、家族の呼称として意義があり、その呼称を一つにするのは合理性がある」(裁判長・寺田逸郎長官)として、夫婦同姓を定めた民法750条は憲法に違反しない、という初の判断を示しました。

夫婦問題に特化したカウンセリングを行う筆者のもとにも、先日、「離婚時の氏名」について、ご相談があったばかりです。離婚後どちらの姓を名乗るか、お子さんとの関係も含め、大変悩んでいらっしゃいました。

結婚の際、夫の籍に入る(入籍)ことの多い女性は、離婚した場合、籍から抜け、結婚前の旧姓に戻ります(除籍)。子どもを引き取った場合は、親子で名前が違うという事態を招くため、必要に応じて、新たな戸籍の作成や離婚後も婚姻時姓を名乗るための申請、住民票や銀行、パスポートなどの名義変更をするなど、煩雑な手続きをしなければならないという事実があります。

 

■ 現行制度は果たして合理的?

今回の訴訟のひとつ、「民法の規定が憲法に反するか」という内容について、15人の裁判官のうち10人が「合憲」とし、女性裁判官3人を含む5人が「違憲」という意見を表明したとのこと。

合憲の理由として、「同じ苗字を名乗ることは、社会に定着しており、家族の呼称をひとつにまとめることは合理性が認められる」としていますが、現行制度は果たして「合理的」といえるのでしょうか。

 

■ 変化・多様化している家族や夫婦のあり方

「結婚したのだから同姓がいい」「仕事の関係、旧姓への愛着があるから別姓にしたい」と、考え方は人それぞれです。そのあたりが明確でないため、事実婚を選択しているカップルも存在します。

家族のあり方、夫婦のあり方は、ここ数年で加速度的に変化しています。ここまで多様化した家族形態、社会の変化に注目し、「選択的夫婦別姓制度」について、もう少し深く議論を重ねてほしかったと、感じましたが、読者の皆さんはこの判決内容を、どのように受け取りましたか。

[執筆:渡辺 里佳(夫婦関係・離婚カウンセラー), 2016年2月15日]