仕事が大好きで、がむしゃらにこなしてきた女性が、産休に入ってから仕事をしていない自分に価値を見いだせずに苦悩することがあります。働くことも、大切なアイディンティティのひとつ。妊娠・出産は体、心、環境そして価値観も大きく変わる時、人生の大きな変革期に葛藤が生じることは当然のことかもしれません。

 

■ 仕事をしていない私は価値がない

筆者のカウンセリングに訪れた30代後半のC子さん。産前は責任のある役職に就き、キャリアを積み重ねてきました。無事に出産を終えて育児が始まると、C子さんはモヤモヤとし始めたといいます。仕事をしていない自分に価値を見いだせず、早く仕事をしたいと、職場復帰願望がこみあげてきたのです。その一方で、この子の母親は自分しかいないのに、育児を苦痛に思う自分はなんてひどい母親なのだろうと、自分を責める日々を送っていたのです。

 

■ 幼少期に刷り込まれた思い込み

C子さんの母親は専業主婦、父親は封建的でワンマン、「俺が金を稼いでいるのだ、俺の言う通りにして当たり前だ」が口癖で家族はいつも父親の顔色をうかがって過ごしていました。夫婦仲は良好でないものの、経済力の無い母親は離婚をすることもできず、我慢をする日々。そんな母親を見て育ったC子さんは「経済力の無い女性は惨めだ」とキャリアウーマンの道を選択したのです。仕事をして経済力があることは価値がある、この思い込みは幼少期に刷り込まれたものだったのです。

 

■ 自分を肯定すること、全てはここから始まる

カウンセリングを通じて、「仕事をしていない自分は価値がない」という自分の思い込みであり事実ではないとC子さんは気が付きました。この気づきは、C子さんの感情に大きな変化をもたらしました。自分を肯定することで、現状すら肯定的に変容していったことは言うまでもありません。

 

■ 思い込みと事実を区別する

思い込みと事実、主観と客観。これらを整理し、区別していくと人生はとてもシンプルになります。思い込みという枠組みの中で物事を考えると手詰まりになりますが、その枠から脱出することでより柔軟に物事を捉えることが可能になります。ものの見方が変わることで感情や行動も変わってくるのです。

心に波風がたち、問題が浮上してくる。そんな時は自分の内側からのSOS。そのSOS信号をあなたが受理することで、事態は自然と好転していくのです。ピンチはチャンスとはよく言ったものですね。

[執筆:久保木 惠子(コーチ), 2016年2月22日]