お腹が大きくなりはじめた妊婦さんにとって「どこで産むか」「どうやって産むか」を考えるのはとても大切です。里帰り出産をするかしないか、どんな分娩スタイルがいいのか、などなど…。
そこで今回は、「フリースタイル分娩」の魅力についてお伝えします。
■まるで時代劇?日本古来の「お産」が見直されるワケ
いま、日本古来の分娩スタイルに再び注目が集まっています。普通分娩を希望する人の半数近くが、昔ながらのお産に近い「フリースタイル分娩」に興味を示しているようです。
フリースタイル分娩とは、その名の通り、自由に楽な姿勢で挑む出産スタイル。ドラマや映画の出産シーンでよくある「分娩台で力む!」ものとは少し異なります。四つん這いの姿勢で呼吸を整えたり、天井から吊り下げた力綱(産み綱)につかまって力んだり。時代劇でしばしば登場するお産の光景を想像させることから、「大奥スタイル」や「お江戸スタイル」とも呼ばれています。
欧米由来の分娩台に比べて母体と胎児への負担が少ない、というのが感心を呼ぶ理由。WHO発表の“お産のケア実践ガイド”でも「出産中は仰向け以外の姿勢をとること」と指摘されるくらい、日本のお産はとっても自然なスタイルなんです。
■イマドキお産は「畳」が人気!?
医療に頼りすぎず、主体性をもって挑むお産のことを「アクティブバース」といいます。フリースタイル分娩のメリットは、その都度自由に楽な姿勢をとりながら自分のペースで頑張れること。そして機械的な分娩室ではなく、落ち着いた雰囲気の畳部屋を選べばリラックス効果も十分。最近、分娩台に代えて畳敷きの産室を増やす施設が増えてきているのですが、これは前述した身体的な負荷の少なさだけでなく、アクティブバースによって出産自体を楽しめるように工夫された結果だといえます。
■アクティブバース、フリースタイル分娩ができる病院
アクティブバースやフリースタイル分娩の環境を整えている産院を一部ご紹介したいと思います。
●湘南鎌倉総合病院(神奈川県鎌倉市)
- 全国から産婦人科医が見学に来る古風な産室、「お産センター」
- 畳の上には布団と間接照明。まるで旅館のような落ち着いた雰囲気
- 希望する人は誰でも立ち会える
●吉村医院(愛知県岡崎市)
- 県内外から妊婦が集まる「お産の家」
- 薪割りや雑巾掛け、炊事など昔ながらの労働をすることで体力を維持、出産に備える
温故知新の出産スタイル、いかがでしょうか。出産を控えた方はもちろん、これから妊娠を考えている方にとっても「幸せなお産」を考えるきっかけになれば嬉しいです。
【参考】
※WHO
※湘南鎌倉総合病院お産センター
※吉村医院
※二村元夫(2007)『赤ちゃんにやさしいお産選び』チクマ秀版社