前編・中編では、産院選びについて、「まずは自分を知ることから始めてみては?」というお話をさせていただきました。後編では病院についての違いをご紹介します。
◆ 執刀医は? 病棟スタッフは?
病院も組織ですので、様々な出産システムを持っています。
様々な観点で効率を追求した結果、執刀医担当制を排除した病院もありますし、助産師さんの起用を重視しているところもあります。
たとえば日赤医療センターでは、基本的に執刀医を当日まで選ぶことができません。しかし様々な部門の専門スタッフが組織的に妊婦さんをフォローして、かなりのハイリスク出産まで対応しています。
また、助産師さんとの連携をより強くうち出した病院もあります。聖路加国際病院では、本院の他に隣接する聖路加産科クリニックを新しく2010年6月に開設し、助産師さんによる分娩やショートステイ(産褥入院)などを行っています。
※ショートステイについては過去記事「もう実家に頼れない!? 産院退院後の新事情【前編】」をご参照ください。
妊婦さんからすると、当日まで執刀医が誰であるかわからないことに不安を覚えることもあるでしょう。当時妊婦の私もそう思いましたが、いまでは病院は組織力が高い方が結果として最良の選択ができるのではないかと考えるようになりました。なによりも、助産師さんという日本ならではの強い産婆さんがそばにいてくれることは心強いでしょう。
また、病棟のスタッフについても案外カラーが違うので言及しておきます。体育会系ノリで、叱咤激励をしてくれる病院、ホテルのコンシェルジュのようにかゆいところに手が届くような病院。私自身は人に叱られたりすることに慣れておらず苦手意識がありましたが、自分は強くいわれた方が心地よいという友人もおり、人により求める対応は違うのだと思います。
これらは、病院の説明会や見学などで、医師や病棟の婦長さんにお話を伺い詳しくお話を聞いて、自分の価値観とあうかどうか確認することをお勧めします。
◆ コスト重視でいく?
最後に重要な要素として、お金の話があります。出産スタイルが決まったら、今度はお財布と相談です。出産にかかる費用は病院によって雲泥の差があります。保険適用後で200万円以上請求する産院がある一方で、20万円でも受けてくれる産院もあります。
ここで重要なのは、必ずしも価格の高い低いが産院の良し悪しと比例していないということ。リーズナブルな産院でも、とてもよいサービスを提供しているところはたくさんあるのです。価格が高い理由は、一等地にあるという地代かもしれませんし、施設そのものにお金がかかっているのかもしれません。
産院は必ずしも近い場所になければならないというものでもありません。一般的に陣痛が始まってから分娩までは何時間もかかることが多いので、車で1時間内にいける産院であれば大丈夫とされています。郊外で都内以上のサービスを行っている産院は沢山あります。
また、NICU等もちろんあったことに越したことはありませんが、ものすごくハイリスクお産でない限りは不要であることの方が多く、自分のお産に必要な設備が最低限あるところで探してもよいかもしれません。
いかがでしょうか。自分のお産の価値観分析とリスク評価で、病院とのマッチング できそうでしょうか? 具体的に病院を探す方法としては、たとえば地図を広げて自宅を中心に車で1時間圏内の範囲にマルを書き、そこから消去法で残ったものを実際に見学してみる、というのもひとつの手かもしれません。ぜひ、最良の産院で、最高のライフイベントを!
【関連記事】
※「東京の産院選びをアドバイス【前編】判断基準の考え方」
※「東京の産院選びをアドバイス【中編】自己分析をしよう!」
【参考】
※日本赤十字社医療センター
※聖路加国際病院