■マタニティ・ハラスメント(マタハラ)とは?
日本労働組合連合会では、今年5月妊娠や出産を理由に嫌がらせや不利な処遇を受ける「マタニティ・ハラスメント(マタハラ)」についての意識調査を実施(※1)。「マタニティ・ハラスメント(マタハラ)」とは、働く女性が妊娠・出産を理由とした解雇・雇止め(契約打ち切り)をされることや、妊娠・出産にあたって職場で受ける精神的・肉体的なハラスメントで、働く女性を悩ませる「セクハラ」「パワハラ」に並ぶ3大ハラスメントのひとつです。
言葉としてはまだ認知度が低く、言葉も意味も理解している人は6.1%にすぎません。でも、マタハラを受けたと感じている女性は25.6%にのぼり、昨年、同連合が実施した調査のセクハラ被害経験者17.0%を上回っています。
■どんなことがマタハラになるの?
実際に受けたマタハラや周囲であったマタハラとしては、「妊娠中や産休明けなどに心無い言葉を言われた」が最も多く、次いで「妊娠・出産がきっかけで、解雇や契約打ち切り、自主退職への誘導などをされた」など雇用に関する内容も上位に。「重い物を持たされたり、目の前で煙草を吸われたりした」など配慮のない振る舞いを挙げる人もおり、私もこの調査の記述回答を読んで心が痛みました。
職場でマタハラが起こるの要因の1位は「男性社員の妊娠・出産への理解不足・協力不足」が53.1%となっており、2位の「会社の支援制度設計や運用の徹底不足」27.2%を大きく上回る結果に。制度よりも、意識の問題が浮き彫りとなっています。
■泣き寝入りしないために
筆者は女性向けのキャリア研修で、周囲とのコミュニケーション力アップのためアサーションというコミュニケーション手法を取り入れています。アサーションとは、自分の意見、考え、気持ち、欲求などを正直にその場にふさわしい方法で述べる自己表現のこと。相手を思いやりながらも上手に「自己主張」できるかがポイントです。
日本では伝統的な価値観として、女性は控えめで謙虚なことが求められがち。ですが、マタハラ問題で泣き寝入りしないためにも、周囲に感謝しつつ自分の状況を伝える力も必要なのです!
■自分の気持ちが言える技術
日本におけるアサーション・トレーニングの第一人者・平木典子氏は、コミュニケーションに関わる著書も多数出版しています。中でもオススメは、『子どものための自分の気持ちが<言える>技術』(※2)。これは子育てにアサーションを取り入れるための本なのですが、イラスト入りで一瞬でポイントをつかむことができ、子育てにも役立つので一石二鳥!
ハラスメント問題では、自分の気持ちを女性側も伝えることがとても重要です。アサーションでしっかり自分もキャリアも防衛しましょう!
[執筆:藤崎 葉子(キャリア アドバイザー)]
【参考】
※1. 「マタニティ・ハラスメント(マタハラ)に関する意識調査」日本労働組合連合会 (2013年5月22日掲載)PDF
※2. 平木典子(2009)『子どものための自分の気持ちが<言える>技術』PHP研究所