■ 憧れのノマドワーカー?
昨年あたりから、いわゆるフリーランスの職業形態の中でも新しいワークスタイルとして「ノマドワーカー」という言葉が一般化しつつあります。この「ノマド」本来の意味は「遊牧民」ですが、固定のオフィスを持たず、カフェやコワーキングスペース、あるいは共同で借りたシェアハウスを仕事場とする人々を指して使われ、昨年『情熱大陸』(TBS系)が、ノマドワークの実践者として安藤美冬氏(32)を紹介したことがきっかけで、おしゃれな働き方のイメージで若者を中心に憧れをもたれているようです。
職種は、ライター、デザイナー、イベントプランナー、コンサルタントなどで、その実態は従来からあるフリーランスと変わりはないのですが、IT機器と人的ネットワークを活用し、会社の枠を超えて参加するプロジェクトなどで仕事をするイメージが新しいポイントかもしれません。
■ 出産後の働き方としてフリーランスは人気ですが…
最近、フリーランスでキャリアカウンセラーとして働く知人が、女子学生から「出産したら、○○さんのようにフリーで仕事ができるようになりたいんですけど、どんなキャリアを積めばいいですか?」と質問されることが増えたと話していました。確かに、キャリアカウンセラーもフリーランスとして独立しやすい職種の一つ。一方、ボランティアで週末にワーキングマザー(ワーママ)の相談に乗っている、某企業でワーママ歴の長い先輩は「最近、育休後はフリーで働きたいという方が多くて…、でもあまり若いうちに会社を辞めるのはどうかしら」と少々困惑気味。
筆者自身も、仕事で関わるワーママさんたちが密かにフルタイムサラリーウーマンの卒業を目指しているというお話はよく伺いますが、なんだか、ノマドやフリーランスはその自由さや華やかな部分だけが注目され、実態の厳しさに目が向いていない気がしてなりません。
■ フリーランスのメリット・デメリット
では、フリーランスのメリット・デメリットを働く女性の視点からまとめてみましょう!
<メリット>
- スケジュールの自由度が高い
- 家庭や子育てと両立しやすい
- 様々な間接費用がかからず仕事の単価が高い
- 働く場所を自由に選べる
- 会社ならではの面倒なお付き合いが少ない
<デメリット>
- 収入が安定しない
- 専門分野がいつもお金になるとは限らない
- トラブルや責任をすべて自分で負うというプレッシャー
- 子どもを持つ場合は、保育園に入れるのが難しいことも
- 意識的に自己研鑽をしないとキャリア形成がおろそかに
以上のように、仕事と家庭(子育て)との両立には非常に適しているものの、個人で責任を負って仕事するプレッシャーや収入の不安定さといった厳しい側面もあります。意外な盲点なのが、待機児童がなかなか減らないこのご時世のなか、さらに子どもを保育園に入れるのが難しくなるという点はご注意を。各自治体の基準にもよりますが、フルタイム勤務同等の仕事実績が証明できないとポイントが不足しやすいのが実情です。
自分のキャリアの専門性とワークスタイルがマッチすれば、自由度が高く女性に適したフリーランス。計画や準備をしっかりと、そして何より継続する力をつけてからチャレンジして欲しいと思います!
[執筆:藤崎 葉子(キャリア アドバイザー)]
【参考】
※ 本田直之 (2012) 『ノマドライフ 好きな場所に住んで自由に働くために、やっておくべきこと』 朝日新聞出版