女性のキャリアは、結婚や妊娠・出産、介護などのライフイベントによって大きく変化していきます。そこで今回は、アラサー世代が直面する結婚、妊活、妊娠・出産とキャリアについて考えていきたいとおもいます。
■ 寿退社はもはや死語!?
かつて存在した寿退社という言葉。最近あまり聞かなくなったので調べてみたところ、寿退社を希望する女性はわずか7.8%しかいないということが判明(※1)。雇用形態別にみると、派遣社員の契約期間満了を迎えたので結婚を機に家庭に入ることはあっても、正社員として働いている人が結婚と同時に専業主婦になるケースはかなり少ないようです。(もちろん夫の意向や転勤などで退職せざるを得ないという人はいるようですが)
そもそも、正社員の場合は、結婚で働き方が大きく変わる人は少ないようです。筆者の周辺でも、「結婚したことで働き方が変化した」と答えた人はごくわずか。むしろ、「一緒に暮らしはじめたことで家事分担などの幅が効くようになり、働きやすくなった」と答える人のほうが多かったくらいです。
■ キャリアにおいて、結婚と妊娠は全く別もの!
とはいえ、妊娠・出産となると話は別です。働き方はもちろん、仕事を続けるのか辞めるのかという選択肢もでてきます。女性の育休取得率は、平成24年度実績で83.6%と高く、多くの女性が働きながら子どもを産み育てていることが分かりましたが、職場復帰後の時短勤務では復帰前と同じパフォーマンスができるわけではありません。働く女性にとって、妊娠・出産が働き方を考える一つのきっかけになっているのです。
■ 妊活も、キャリア観に影響を与える!?
晩婚・晩産化が進むにつれ、意識して子どもを授かろうと頑張る、妊活をする人も増えてきました。筆者が開催したセミナーで妊活経験者に聞いたアンケート(※2)では、「妊活をきっかけに、働き方やキャリア観に変化がありましたか?」という質問に対して、「はい」と答えた方は実に8割いらっしゃいました。
- 年齢のことを考えると転職は難しい。長引く不妊治療でキャリアダウンするのは悔しいけれど、できるだけ会社を辞めずに社内で頑張りたい。
- 正社員でいる今は安定しているし忙しくても頑張れるけれど、子どもがいてこの忙しさは正直きつい。出産を機に会社を辞めて、2年後くらいに派遣などの形で社会復帰するのも悪くないかも…。
- 出産後は会社や制度に縛られることがないフリーランスとして独立できるように、スキルアップに力を入れはじめた。
ライフイベントを通して、働き方や価値観は大きく変わっていきます。その時の状況に応じて、しなやかに方向転換できるよう準備しておくことはもちろん、日頃からパートナーや職場と密なコミュニケーションをとっていきたいものです。
[執筆: 渡辺 さちこ(「妊きゃりプロジェクト」主宰)]
【参考】
※1. 株式会社リクルート ブライダル総研『女性の働き方のアンケート』(2012年8月22日発表)
※2. 筆者主宰の「妊きゃりセミナー」におけるアンケート2011年〜2013年開催分の合計(サンプル数40人)