敬老の日に合わせて発表された総務省の人口推計(※)によると、今年、65歳以上の高齢者が過去最高の3千百万人越えとなり、いよいよ総人口の25%に達したとのこと。4人にひとりが高齢者というとイメージがわくかもしれませんね。
歩調を合わせるかのように、今月上旬に金融庁金融審議会がまとめた報告書では、これまで現金支給が基本だった保険金に代わり、介護・葬儀などの現物サービスを選べる保険の解禁が盛り込まれ、かつてない超高齢化社会を受け止める仕組み作りの議論もすすんでいます。
アラサー、アラフィフ世代は親の介護を真剣に考える世代でもありますが、親世代とはなかなか介護や相続の話はしづらいもの。そのきっかけとして、親子で一緒に「エンディングノート」を書いてみるのはいかがでしょうか?
■ エンディングノートとは?
最近では書店でも複数見受けられますが、就活(しゅうかつ)ならぬ、「終活」の一環で書く方が増えています。フォーマットに従って、これまでの自分史や自分の最期をどのようなかたちで迎えたいのか、誰に知らせたいのかなどを、家族に伝えたいメッセージとともにまとめられるようできています。数年前には同名の映画が公開されており、一度は耳にした方もいらっしゃるのではないでしょうか。
■ 遺言とどう違う?
一番の違いは、「エンディングノート」には法的な拘束力がないこと。
ですので、例えば家族のそれぞれに残したい遺産などが書いてあったとしても、必ず実現されるものではありません。ただ、法的効力がないとはいえ日本人の感覚からすると、故人の意思はなるべく尊重したいもの。どうしてそのように分けたいのか、理由とともに書き記しておくことで、親族間の無用のトラブルが避けられる可能性は大きいと思います。
ネガティブに捉えがちな「死」ですが、最期について考えることは、今をどう「生」きるかを考えること。また、遺言というとハードルが高く感じられるかもしれませんが、親子でためしにエンディングノートを書いてみるのはできそうだ、という方々もおられると思います。
もうすぐお彼岸。
ご先祖に連なる我が親、自分や子どもたちのことを考えつつ、ライフプランの終着点を理想のかたちで迎えるべく、手を動かしてみてはいかがでしょうか。
[執筆:海老原 政子 (ファイナンシャルプランナー)]
【参考】
※ 総務省統計トピックス「統計からみた我が国の高齢者」(平成25年9月15日)