「ではこれで進めましょう!」という声で1時間の企画会議が終了。
傍には子供達が思い思いに遊んでいます。実はこれは保育園の卒園イベントの会議風景。ものすごい短時間にも関わらず、会議終了時には8割方内容が決まり、今後の進行スケジュールや各人の持ち帰り課題などが書かれた議事録が手渡されました。
たかが保育園の行事と思うかもしれませんが、100名を超える規模のものもあり、それ相応の準備が必要にもかかわらず、ワーキングマザーたちは数回の1時間以内の会議と数回のメールでのやりとりで、クオリティの高いイベントを仕上げてしまいました。
■ 磨きぬかれた時短技術
会議の場にいてまず圧倒されるのは、「時間=限られたモノ」という認識が全員にあり、最初から「議論に時間のかかるもの」「反対意見が出そうなもの」はばっさりと切り捨てていく様。そして、おそろしく豊富な情報ネットワークを駆使して、業者と破格の交渉をし、超安価でクオリティの高い行事を、しかもものすごい短時間で仕上げていくのです。
1分1秒を惜しみ合理的に進めていきながらも「子供の喜ぶ顔」をモットーに決して手は抜かず、様々な環境にいる家庭へのキメ細やかな気遣いをも忘れないそのシゴトぶりは、もしワーキングマザーだけでプロジェクト部隊をつくったら最強だなと思わせるのに十分でした。
■ 消費リーダーとしても注目されるワーキングマザー
ワーキングマザーの時短技術は仕事だけでなく様々な面にもおよびます。家事時間を短縮するルンバ、食洗機、乾燥機付き洗濯機は代表的な例で、さらに仕事の合間に子供達の教育や御褒美レジャーにも積極的に出かけます。もし家庭にいる女性が働きに出たら、直接の経済効果だけでも3兆円といいます。そう、ワーキングマザーはいまや若者や専業主婦層を差し置いて、消費リーダーでもあるのです。
■ 「脱!長時間労働」がワーキングマザー活用のキー
ワーキングマザーの敵は長時間労働。多くの企業は少し前の若くて安い労働力が沢山あった頃の制度そのまま、長時間働く人を容認し評価する傾向にあります。
しかし、ワーキングマザーの生産性の高さを侮るなかれ。労働エリア、時間に制約があったとしても、ワーキングマザーが会社に残ることで、沢山のメリットがあります。
それにいち早く気がついたクロスカンパニーでは、女性のノウハウが出産等による退職で途絶えてしまうことを憂慮し、「4時間」「6時間」正社員制度を導入。その結果、仕事の効率が上がり、ベテランから若手へのOJT等も活発になったといいます。さらには、消費リーダーでもある彼女達に“刺さる”商品・サービスを開発・提供していくことに彼女達は不可欠なのかもしれません。つまりワーキングマザーは企業の競争力を高めるキーになりえるのです。
女性管理職の登用などがアベノミクス案に盛り込まれ、今後女性のキャリア環境は著しく変わるでしょう。その時には旧来の会社のシステムにそのままワーキングマザーをあてはめて“お荷物”のように扱ってはいけません。ワーキングマザーたちの力を十分発揮できる土壌を整えて迎え入れることができなければ、本来の力が発揮できないでしょう。「4時間」正社員はまだまだ発展途上かもしれませんが、今後このような動きは活発化し、これまでの古い労働概念を駆逐していくことを願います。
家庭でノウハウをもてあましている女性達、この機会にどんどん社会へ出て、自分の可能性を試してみるというのはどうでしょうか。
[執筆:マキコ・アサエダ(産後ライフプランナー)]