新卒採用の動向をニュースで目にする季節になりました。昨年は、岩波書店の新卒採用方針、「縁故採用のみ」が話題の目玉に。今年の目玉は、IT企業のドワンゴが打ち出した方針、「受験料制度(2525円)」に間違いなし! 反響の大きさから察するに、ただの話題づくりではリスクがあり過ぎる様子。どのような意図があるのでしょうか?
■ 知りたいことは、応募者の熱意と意欲
岩波書店の当時のコメントは、「熱意や意欲を把握したいため」でした。縁故といっても、著者や同社社員と記されていたのみ。考えようによっては、大学のOB・OGでも構わないし、同社ビルから出てくる社員に突撃して紹介してもらったっていいわけで。それくらいのポジティブ思考や行動力に裏打ちされた意欲を見たい、ということのようです。
ドワンゴの会長インタビュー(※)からは、受験料は応募者のスクリーニング(またの表現を「足切り」)のひとつと捉えていることが窺えます。同社は「他社とは違うこと」を志向する会社だとか。そういう人に応募してほしい一方、受験料の徴収が完璧なスクリーニングになるわけではないことも語り、逸材を逃す可能性も覚悟の上だとわかります。
■ 就職とは仲間選び!?
学生にとっての2525円は牛丼10杯分(涙)…。本当に逸材を逃すのでは? と思ってしまう筆者ですが、このように、応募者の志向が自社の期待に合うかどうかで、まず線引きする。志向の合いそうな人から一緒に働く“仲間”を選ぶことには、共感できます。
キャリア相談を利用する方の多くは、「(仕事そのものよりも)環境が大事」とおっしゃいます。働くみんなで環境を作るのですから、志向が似ていれば相性も合うかもしれないし、自分に合う環境といえるかもしれません。どうやら、お互いに“仲間選び”をしていると考えればしっくりきそうです。
真剣に活動していれば、複数同時応募は当たり前。ですが、自分に合う仲間を選ぶためにも、まずは自分に合う会社について考えることから、じっくり取り組むことをお勧めします。素敵な仲間に出会えますように!
[執筆:五十嵐 ゆき(キャリアコンサルタント) ]
【参考】
※ 『ITメディアニュース』(2013年12月6日更新) 「「広く問題提起」-ドワンゴ「入社試験に受検料」発案の川上会長に聞く、その真意と”就活”観」