「私の幸福って?」「幸せって目に見えないものだよね?」と考える方も少なくないと思います。今までの振り返りもこめて、幸せのカタチを考えてみませんか。
自分だけの幸せを考えてみることは、春のスタートを前に、人生の目標を明確にする効果があります。
日本人における「幸福」とは、人との関係性のなかで得られるという傾向があります。古くは冠婚葬祭などの地域社会での自己の果たす役割から。現代でも、仕事やプライベートの仲間との恊働、ボランティア活動での連帯感、親子の絆など、人との関係性を重視した行動により幸福感を得ています。
幸福には他者の存在も大きく関わっているということですね。これは、個人としての自立や個性をキーワードに考える欧米と大きく違う点、日本人らしさです。
東日本大震災にみまわれた日本は、これまで当たり前と感じていた日常こそが幸せであるという大きな気付きも得ました。日々の平穏を祈り、失ったものを可能な限り取り戻すべく、 日本は未来へと続く努力を重ねています。
これは近年の環境問題との関わりで重要性が増している「持続可能性」(※)という考え方で内閣府の幸福度に関する研究会によると、「心身の健康」「経済社会状況」「関係性」と共に、幸福をもたらす要素として捉えられています。
■ 自分だけの幸福をイメージする方法
「持続可能性」をもとに、次の簡単4ステップで「あなたただけの幸福」をイメージする方法をお伝えします。順に少しずつイメージを重ねて行ってくださいね。
- 1. 幸福の土台は、日常。これが将来的にも滞りなく続いていくものとイメージします。
- 2. この土台の上には、個人的な事情に基づいた幸福が色々な姿で乗っています。
- 3. さらに全方位に、人との関係性や繋がりが大小や強弱で表現されています。
- 4. その繋がりは時に近づいたり離れたり、自然環境や社会的という流動的な影響も受けています。
さて、あなたの「幸福の図」はどのようにイメージされましたか?
脳内に描かれたものは、自分らしさも加味されているオリジナル。それこそが今を生きている場所、大切にしているもの、持続可能性のある世界なのです。
実はこの4ステップによるイメージ方法は、心理療法のひとつである描画療法(アートセラピー)に基づくもの。感情を自由に表現する過程をイメージしやすいように、筆者が考案しています。
「幸福」には個人の大切な想いも影響し、目にすることは出来ないと考えられていますが、こうして段階的にイメージを重ねていくことで、自分自身の立ち位置や幸福の在り方が見えてくるかと思います。
[執筆:桜井まどか(心理カウンセラー)]
【参考】
※ 内田由紀子(2013年1月)「日本人の幸福感と幸福度指数」『心理学ワールド 60号』p.5-8, 公益社団法人 日本心理学会発行