今年3月、埼玉で、ベビーシッターに預けられた男の子が死亡する痛ましい事件がありました。子供を預ける必要性がある育児中の方にとっては、見過ごすことのできない出来事です。
■ 費用が安い行政サービスを、利用できればいいけれど…
少子化が進み、子供を預かる支援サービスに、行政も力を入れています。たとえば、神奈川県横浜市の子育て支援サービスでは、「乳幼児一時預かり」(※)を実施。費用は1時間300円以下と格安の値段です。
これが民間の大手ベビーシッター会社となると、入会金や年会費が発生するケースも。また、実際に預ける費用は1時間2000円前後で、行政の数倍かかります。
だからこそ、行政サービスを利用したいところですが、定員数が少なく満員状態でなかなか利用できないといった声も多いのです。このように、子供を預けるのに四苦八苦しているママ達にとっては、実の親がそばにいてくれたらどんなにいいかと思うことでしょう。
しかし実際には、実母が近所に暮らしていても、子供を預けたくないという方もいるのです。
■ 勝手に孫の服やお菓子を買う祖母
筆者のカウンセリングルームにいらした美容師のA子さん。彼女は子供を保育園に預けており、残業などの場合は、個人契約のベビーシッターにお願いしています。A子さんの実母は車で20分程の所に住んでいるのですが、A子さんは子供の面倒を見てもらうつもりはないと言います。
「保育園に預けるようになり、私が仕事を終えて迎えに行くまで、母に見てもらっていたときもあったのですが、苦痛になってしまって…」と話すA子さん。
「よく泣く子供だ、世話が焼ける。いつまでもおむつが取れない」など、A子さんは母親が文句を言うことには我慢をしていたそうです。しかしそのうちに、頼んでもいない子供服や、おやつと言いながら自分用の食材も一緒に購入し、レシートを見せずに支払いを請求されるようになりました。
「私はお礼のつもりで、母には毎月お小遣いを渡してきました。けれども、勝手に服やお菓子を買うようになり、以前からお金にルーズだった母に不信感が募ったのです」。A子さんが、子供の物は自分で買うからと言うと、母親は「もう孫の世話はしない」と激怒。これがきっかけで、A子さんは母親に預けるのを辞めました。
たしかに、ベビーシッターの方が出費は嵩みますが、母親とのいざこざは避けたいもの。それに、ベテランのベビーシッターによる育児のアドバイスを受けられるのは、今のA子さんにとって、何よりの支えとなっているのです。
[執筆:真香(母娘問題カウンセラー) ]
【参考】
※ 横浜市「横浜子育てサポートシステム事業」