■ 再就職でも正社員を目指してほしいワケ
配偶者控除の撤廃や夫の年収の伸び悩み、また昨今の女性の社会進出を後押しする政策の風を受けて、出産後、離職したとしても再就職を考える女性が増えてきています。
そこで妻側が考えるのがどんな働き方をするのか、ということです。子育て期ならば、仕事と子育ての両立が難しいということから、非正規社員やパートを検討するかもしれませんが、筆者は断然、最初から正社員志望で就職活動をすることをおすすめします。なぜならば、若いうちであればあるほど未経験であっても正社員登用の道が開かれており、その後のキャリアと成長の機会を掴んでいけるからです。
しかし正社員だとフルタイムとなり、今までの家事・育児を夫と分担できるか……と不安になることがあるかもしれませんが、ここに夫を説得する材料があります。
■ 妻が正社員だと夫の小遣いも増える?!
中央大学の山田昌弘教授によれば(※)、夫の小遣いの額が妻の雇用形態によって差が出てくるというデータがあります。日本のサラリーマン男性の小遣いの額はバブル崩壊後、低下の一途となっているそうで、2012年度のサラリーマン男性の平均的な小遣い額は39,600円と先進国のなかでも最低水準だそうです。しかし、総務省全国消費実態調査(2009年度)で小遣いなどが含まれる「その他支出」の額が夫婦とも正社員の場合は94,403円、夫が正社員、妻が非正規社員の場合は72,834円、妻が専業主婦の場合は62,294円というデータがあるそうです。その差は3万円以上です。
妻が働きに出てくれれば夫の小遣いも増ますし、妻が安定した正社員であれば、夫が病気、転職、あるいは起業したいといった時に妻を頼りにすることができます。そして、何よりも仕事をすることで妻が生き生きする・・・などメリットはそのほかにもたくさんあります。
再就職を考えている女性は、夫にとってどんなメリットがあるかという視点で夫に家事の協力を仰いで、自分の可能性を広げてみてはいかがでしょうか。
[執筆:小倉 環(キャリアカウンセラー) ]
【参考】
※中央大学 文学部教授 山田昌弘「男女共同参画の男性にとってのメリット」内閣府男女共同参画局HPより