10月も中旬、急に寒くなってすっかり秋の天候に。連休が多いことや、気候の変化で体の調子も乱れがちなこの季節。何気なくツイッターを眺めていたら、「最近、眠くて仕方がない」というツイートが目に入りました。そこで思い出したのが、季節性うつ。秋から冬にかけて、通称「冬うつ」と呼ばれる「季節性うつ病」があることをご存知でしょうか?
■ 通称「冬うつ」「冬季うつ病」、季節性うつ病とは?
特定の季節に現れるうつ症状のことを、「季節性うつ病」といいます。季節性うつ病の代表例が「冬季うつ病」であり、大半は春になると自然に回復します。
冬季うつ病の主な症状は、下記のとおり。
- 眠気
- 過眠
- 甘い食べ物がほしくなる
- 過食
- 過食による体重増加
「朝が寒いから寝過ぎた」とか「食欲の秋」などと言い訳していても、もし極端な状態になっていたら「冬季うつ病」を疑う必要があるかもしれません。
■ 冬季うつ病の原因は?
冬になると日照時間が短くなることで、日射量が不足。それによって、人体の2つの物質に影響が出ることが、冬季うつ病の原因と考えられています(※1)。
1つ目は、メラトニン。日射量が減少すると、眠気を引き起こす脳内ホルモンであるメラトニンの分泌が促進されるため、眠くなるのです。
2つ目は、セロトニン。日射量が減少すると、体内リズムが乱れ、脳の神経伝達物質であるセロトニンが減少。セロトニンが減少すると、攻撃性が高まったり、不安やうつ・パニック障害などの精神症状を引き起こすといわれています(※2)。
■ 予防・改善に向けて、どうしたらいい?
予防や改善の秘訣は、日光に当たること。なんだか寒いし、朝はできるだけ暖かい布団で眠っていたい。その気持ちはわかりますが、これを繰り返してしまうと、生活リズムの乱れ、日光に当たらないことによるセロトニンの不足……とどんどん悪いスパイラルに。
この悪循環を断ち切るには、朝日を浴びたり、外出して日光に当たることが重要だそうです。ただでさえ冬は日照時間が短いので、意識して日光に当たる必要がありそうですね。この冬季うつ病は、病院での治療においても強い光を浴びる「高照度光療法」が用いられているのだとか。日光の力は偉大ですね。
[執筆:菅野彩子]
【参考】
※1. 佐古泰司, 飯島裕一(2013) 『うつ病の現在』講談社現代新書,講談社
※2. 厚生労働省『e-ヘルスネット』「セロトニン(せろとにん)」