何かアクションを起こすときに尻込みする理由として、「恐怖」が影響している場合がありますよね。例えば仕事の大事なプレゼンで失敗して、上司に叱咤された経験から、自信を無くしてチャンスがあっても積極的になれないなど。ケースは違っても、傷つき辛かった過去の記憶は、時間が経った後でもその人を苦しめていることがあります。
その辛い記憶、実は簡単に書き換えられる方法があるのをご存知でしょうか?
■ 辛い記憶を書き換える方法
人の心を読むプロ、マインド・リーダーであるトルステン・ハーフェナーの著書『心を上手に透視する方法』(※)を参考に、嫌な記憶を書き換える方法をご紹介しましょう。
- ステップ1. リラックスした状態で、対象となる辛い出来事をありありと思い出す
- ステップ2. イメージのなかで、その出来事をハッピーエンドの状態で完結させる
例えば、あなたが大事なプレゼンで失敗した時。もともとの辛い記憶の中では、上司はあなたに「君に任せるんじゃなかった」と冷たく言い放ち、失望の表情を浮かべていたとします。その時の申し訳ない気持ち…、そして会議室や同席者の様子もまずしっかり思い出してください。
次に、そのイメージを変えるのです。例えば、こんなふうに。プレゼンは失敗したかもしれない。でも、会議室を出た後で、上司が「企画が通らなくて残念だったけど、次回また頑張れ。期待しているよ!」とあなたに明るく声をかけてくれた。会議室の同席者は、あなたを励ますように頷きながらプレゼンを聞いてくれていた。
このように、本当はこうだったら良かったというイメージで、記憶し直すのです。プレゼンで失敗した事実は変わりません。でもその出来事は、あなたにとってはもう辛い記憶ではなく、恐怖の対象ではないのです。
■ ハッピーエンドが分からなくても、辛い記憶は緩和できる
辛い記憶を緩和する他の方法もご紹介しておきます。ハッピーエンドをイメージしにくいケースでも使える方法であり、「NLP」とよばれる神経言語プログラミング技術でも使われる方法です。
- 思い出す時には、モノクロで(古い遠い世界に)
- 記憶の情景を絵のように額縁に入れ、上下逆に飾るところをイメージ
- その場面を小さくしていって、ジオラマのようにあなたは上から見下ろす
いかがでしょうか? 生々しい痛みや記憶が、なんだか遠いものになっていきませんか?
人間の脳は、想像と現実を区別できないと言われます。例えば、酸っぱいレモンを想像しただけで、唾液が出ますよね。現実においてレモンが目の前にあるかどうかは脳には関係ないのです。そうであれば、辛い記憶を何度も思い出して苦しむ必要はありません。最後の結末を変え、ハッピーエンドだったとして記憶し直すのです。
過去のことはもう過ぎたこと。未来の自分のためにチャンスをつかめるよう、嫌な記憶は書き換えて、恐怖も一緒に捨ててしまいましょう。
[執筆:嘉納 夢子]
【参考】
※ トルステン・ハーフェナー(2011)『心を上手に透視する方法』サンマーク出版