「ワークライフバランス」というと、日々の仕事とプライベートでバランスをとって、できれば残業しないように…と考えがちですが、本来のワークライフバランスとは、単純に仕事とプライベートの時間配分を均等にという意味ではありません。年代やその時のキャリアの状況により、もっと長期スパンで考えたほうがキャリア形成には断然有利です!
■ 世代で異なる時間価値の違い
キャリア形成を学業に例えるなら、筆者は次のようにおおよそ10年ごとに成長段階があると考えます。
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20代=キャリアの小学校時代
基礎から一歩一歩、できることを増やす時代です。与えられた仕事は貪欲にこなしそこから全体像をつかんで一人前になることを目指します。
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30代=キャリアの中学校時代
基礎を固めさせ、それぞれの専門分野で応用問題にチャレンジできるようになります。自分の得意分野も見えてくるでしょう。
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40代以上=キャリアの高校生~大学性
勉強したことを課題解決につなげ付加価値を付けられる領域に。より高度な勉強や新たな事を研究発展させる独自の判断ができる域に達します。
このように考えると、例えば20代(小学校時代)の仕事の基礎を学ぶ時に、プライベートの時間を重視して仕事はお休みモードで過ごしてしまうと、いつまでも基礎が身につかないまま、年ばかりとってしまいます。逆に40代以上ともなれば、会社の中にいる時間を増やしても既に学びは少なく、仕事に良いインスピレーションや情報をもたらすであろうプライベート面の充実がないと貧弱なキャリアとなるでしょう。
つまり、時間配分は、年代によって長いスパンでバランスを取るほうが、キャリアの成長には有効なのです!
■ 特に女性は早めの基礎固めを!
日本のキャリア開発の分野で第一人者である、リクルートワークス研究所の大久保幸夫氏も、最新の著書『女性が活躍する会社』においてこのように述べています。ライフイベントを経験することを視野に入れた女性のキャリア形成では、若いうちにできるだけ成長する経験を積むことが重要である、と。
筆者もまさにそのとおりだ考え、以前から女性向けの研修では「産む前までにキャリア貯金をしましょう」と提案しています。入社直後からいかにトップギアで走り、仕事での成長・経験を積めるかが30代以降の勝負の分かれ目。ワークライフバランスは、しっかりキャリアを積めば積むほど楽にとれるようになります。
日々の時間だけにこだわらず、ぜひ長いスパンでタイムマネジメントしてみてはいかがでしょうか。
[執筆:藤崎 葉子(キャリア アドバイザー)]
【参考】
※大久保幸夫、石原直子(2014)『女性が活躍する会社』日本経済新聞出版社
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