神奈川県の川崎市と千葉県の柏市が、今年4月1日時点で待機児童がゼロになったとこと。どちらの市も、待機児童数がゼロになったのは初めて。どのような取り組みをしてゼロになったのか、気になりますよね。
■ 川崎市の場合
川崎市は待機児童数が全国ワースト2位になったこともあるほど。それを受け、待機児童対策を重要課題とし、2013年に待機児童ゼロ対策推進本部を設置。受け入れ枠拡大や保育所の民営化、人材確保を進めました。2014年からは全7区に専門の担当者を配置し、相談支援やマッチング作業にあたっています。
更に今年度は認可保育所と認定こども園の新設や増員により、32か所で定員を2180人増やしました。新たな取り組みとしては、小規模保育施設を4か所整備し、地域型保育事業も充実させています。
しかし、本当の意味での待機児童ゼロとは少々違うようです。認可を希望していたが入れずに、認定保育に入園した場合は、数から除かれています。
そして、横浜市でもそうだったように、待機児童解消後は保育園に入れるという期待感があり、転入者が増えます。当分の間は利用申請者が増え続けると想定し、来年度は認可保育園を整備するなどで定員を1480人増やすそうです。
■ 柏市の場合
待機児童を解消するための行動計画を2013年に策定しました。昨年度までの2年間で、約13億7800万円の予算を投じ、私立認可保育園11園の新規整備で定員増に取り組んだ結果、待機児童がゼロになりました。
柏市の場合も認可外の保育園に通っていて、認可保育園を希望している場合は、待機児童に含めていません。しかし、希望施設を特定しているために入る事ができない「入園保留者」の数も公表し、326人から41人に減少したとしています。
柏市の場合は、今後の人口増にも対応し、保育の質の検証も行っていきたいとしています。
どちらの市も、本当の意味での待機児童ゼロとは少々異なるようですが、それでもどこにも入れずにいる待機児童がいないのはすごいこと。このように、どこにも入れないという子どもが少しでも減って、ゆくゆくは真の待機児童ゼロになることを願います。
[ 執筆:三木 育美(保育情報アドバイザー) ]
【参考】
※『YOMIURI ONLINE』「待機児童ゼロ「継続的に」、川崎市初」2015年04月25日
※『YOMIURI ONLINE』「柏市「待機児童ゼロ」」2015年04月29日
※ 児童福祉法では「保育所」の表記が本来の名称ですが、一般的ではないため、本記事では「保育園」と記載しています。