筆者が外資系製薬企業でCSRという企業の社会貢献活動のチームリーダーとして勤務していた頃、この時期は毎年、新入社員の研修でCSRの講義を受け持っていました。自分が選んだ組織で、自分の力を試そうと目を輝かせて聞いている彼ら。その気持ちをずっと持ち続けて欲しいという願いから、「3人の石切り職人の話」をしていました。
■ 何のためにこの仕事をしているのか?
3人の石切り職人の話とはこういう話です。
ある町で、新しい協会を建設するために3人の石切り職人が働いていました。そこへある旅人が通りかかりました。
旅人は、1人の石切り職人に尋ねました。「あなたは、何のためにこの仕事をしているのですか?」
彼は、ぶっきらぼうに答えました。「生活をするために決まっているじゃないか。金を稼ぐためさ」
旅人は、2人目の石切り職人に同じ事を尋ねました。2人目の職人の答えはこうでした。「この大きくて固い石を切る為に悪戦苦闘しているのさ」
旅人は、3人目の石切り職人に、同じ事を尋ねました。その石切り職人は目を輝かせ、こう答えました。「多くの人々の安らぎの場となる教会を造っているんだ」
■ 社会に貢献したい想いを、思い出してもらう
現在では、管理職のキャリア相談の中を受ける立場でもある筆者ですが、部下のマネジメントの難しさを感じている方が多いと実感しています。あなたのまわりには、日々仕事に追われて、上手くいかないことに直面し、やる気をなくしている新入社員はいませんか。あるいは最初から望んだ仕事ではないため苦手意識が強く、自信をなくしている部下はいませんか。
そんな時、彼らに、「今やっている仕事が社会にどのように役に立つのか」を伝えてほしいのです。この3人目の職人のように、「今関わっている仕事が将来どんな役に立つのかを見据え、そのために今、目の前にある自分ができる仕事をする大切さ」を伝えてほしいのです。
そしてあなた自身も、管理職としてリーダー職として、後輩社員を育てていくという仕事の意義を、少し立ち止まって考えてみてはいかがでしょう。難しいと感じていた仕事を、少し違った視点で捉えるきっかけになるかもしれませんね。
[執筆:高橋 雅美(心理カウンセラー)]