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出来の悪い新人は自分のせい? プライミング効果とは
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出来の悪い新人は自分のせい? プライミング効果とは

新入社員が入社後研修を終え、現場へ配属される季節ですね。筆者のもとにも、今年の新人の出来がいまいちだ、という声もちらほら聞かれるようになりました。そのように嘆く前に、知っておいていただきたい心理である「プライミング効果」について、今回ご紹介します。

 

■ プライミング効果とは

あらかじめある事柄を伝えておくことによって、後続の別の学習や情報が覚えやすくなったり、思い出しやすくなったりすることを指します。最初に見聞きした事柄を「プライム」、後続の事柄を「ターゲット」といいます。

たとえば、

  • 連想ゲームをする前に果物の話をしていると、「赤」というお題が出されたときにいちごやりんごを思い浮かべる
  • 「ヒマラヤ」と10回言ってもらった後で、「世界で一番高い山は」と聞かれて「ヒマラヤ」と答えてしまう(本当はエベレストが正解)
  • 学校の先生が生徒の前で手本を示したり、問題を具体的に解いてみせたりすることで、生徒の学習効率がアップする

これらは、プライミング効果を活用した事例といえるでしょう。

 

■ プライミング効果がマイナスに働くとき

このプライミング効果ですが、マイナスに働くこともあります。その例があてはまるのが、実は「今年の新人はダメだ」と嘆いている方々なのです。

新人に最初に仕事を教えるのは、同じ部署の先輩たちだと思います。その先輩方の働き方、教え方が「プライム」となり、新人の中に残っていくことになります。すなわち、「今年の新人はダメだ」=「自分たちの出来が悪い」といっているようなものだと考えてください。

 

■ 新人が「ダメだ」と嘆く前に

「ファーストキャリアをどこで積むかが重要」とよく言われますが、このプライミング効果による理由もひとつあるでしょう。しかもプライミング効果の影響は何年もの長期にわたって続きますので、新人へ与えるインパクトは相当のものになります。自分の仕事の仕方、教え方に問題がないかどうか、この機会に省みてみてはいかがでしょうか。

[執筆:浅賀 桃子(メンタル心理・キャリアカウンセラー)]

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