あなたは一日の中で、夫をはじめとする家族との会話の中で「なんで」という言葉をどのくらい使っていますか? この「なんで」という言葉、使い方によっては夫婦関係を悪化させることもありますが、上手に使うと夫婦の会話を促進させたり、よからぬことをしようとしている相手に釘を刺すという効果を期待できたりといった、使い方にちょっと気を配る必要がある言葉なのです。
では、早速この使い方のバリエーションをみていきましょう。
■ 責める「なんで」は百害あって一利なし
まず、夫婦関係を悪化させるのは、自分が期待していることとは違うことを相手がしたときに発せられる「なんで○○したの? (しないの?)」という相手を責める「なんで」です。これは、発する方としては、責めるつもりではなく、何か期待と違う光景を目にしたときに反射的に口から出てしまうことも多いのですが、言われた方はほぼ例外なく責められたと感じて腹立たしさを感じます。夫婦関係を悪化させないためには、売るつもりのなかったケンカを思わず売ってしまったような結果を招く、この責める「なんで」の使用は意識して避けることが大切です。
■ 上手な「なんで」は相手に関心を向ける「なんで」
次に上手な「なんで」の使い方ですが、これは、例えば相手から「来週の日曜日って何か用事ある?」と聞かれたときに、「ないよ。なんで?」のように「なんでそんなこと聞くの?」の省略形として、相手の意図をたずねるための使い方です。
「なんで?」とあなたの関心を相手に向けてあげることで、相手は「実はさ、……」と本当に聞いてほしかったことを話しやすくなり、会話を促進する効果が期待できるのです。
また、「なんで?」と聞いたら、「いや、べつに……」という答えが返ってきそうだというときでも、「なんで?」と聞くメリットはあります。相手が何かよからぬことを計画しているのかもしれないとき、「なんで?」とあなたの関心を相手に向けることで、相手の心に釘を刺すことができるからです。
私の相談室にいらしてくださるご相談者様のお話をおうかがいしていて感じることは、責める「なんで」を多用すると確実に夫婦関係は蝕まれていき、関心の「なんで」をスルーし続けると確実に夫婦の溝は深まっていくということです。
「なんで」を上手に使いこなして、良好な夫婦関係を築きたいですね。
[執筆:糸瀬 彩湖(行政書士/夫婦カウンセラー)]
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