昨年より厚生労働省のイクメンプロジェクトの一環として「イクボスアワード」が設置され、部下の育児と仕事の両立への配慮や工夫ができる上司=「イクボス」に注目が集まっています。企業の女性活躍・ダイバーシティ推進の研修を提供している筆者ですが、この秋はまさにイクボスブームを感じています。企業は管理職に何を求め始めたのでしょうか?
■ いくら女性が頑張っても…
企業の女性支援のシーンの中でも、女性に対して、ワークライフバランスを考えたキャリアデザインや、子育てとの両立を支援する研修やワークショップはだいぶ広がりつつあります。女性のキャリアへの意識が高まる一方で、仕事のアサインメントを握る上司が女性部下の成長を一緒に考えたマネジメントを真剣にしていかないと、研修で良い刺激を受けて職場に帰っても以前と状況は変わらぬままとなりがちなのです。
■ 女性を部下に持つ上司は配慮しすぎ?
ところが、日本では男性が多くを占める管理職の方々にとって、女性は「配慮」の対象ではあっても、大きな期待をかけて育成する対象にはならないケースもまだまだ多いのです。よかれと思って、厳しい仕事を与えなかったり、まして子育て中の女性社員には無理をさせては家庭に支障が出るだろうと、ある意味優しい配慮型の上司が多い印象です。これでは女性は育たないと、各企業では女性活躍推進法案も意識し、この秋、管理職のイクボス化に取り組む企業が急増しています!
■ 本当に大切なのはコミュニケーション
最近では、大手企業を中心に女性社員と上司がペアで参加するワークショップも増えてきています。日常業務の中でコミュニケーションをとると言っても、面談の機会が頻繁な企業もあれば、きちんとキャリアや働き方のお話をするのは年1回の面談のみという企業も。1年も経てば妙齢の女性のライフイベントには変化が起きてしまうかもしれません。研修やワークショップなどで半ば強制的に上司と女性部下が今後のキャリアについて話し合う場を設けることで、気を使わずに話せるという効果もあるようです。
同席でのワークショップでなかったとしても、女性だけの研修で「皆さんの上司には管理職研修でしっかりと女性のキャリア支援に知識と理解を求める働きかけをしています」とお伝えすると安堵される様子がわかります。女性がライフイベントに関わらず成長し能力を発揮する場が維持されるよう、管理職の皆様の啓蒙がより盛り上がることを期待します!
[執筆:藤崎 葉子(キャリア アドバイザー)]
※写真:Catalin Pop / 123RF.COM、本文とは関係ありません