筆者のカウンセリングでは、職場に関するご相談を受けることが多いのですが、完璧思考の方が多いという実感を持っています。完璧思考とは、「○○すべきだ」「○○でなければいけない」と考えてしまう方で、考え方が0か100のどちらかになってしまうので、その間の50でいいや、と思えない方々のことです。そのような方は相手に対しての要求水準が高くなってしまうので、どうしても衝突することも多くなってしまうのですね。
さらには、その0か100か思考を相手だけではなく、自分にも課してしまっている人が多いという印象です。つまり、100できない自分を責めてしまうということです。
■ 責めるベクトルが自分に向かってしまう辛さ
相手にも厳しいけど、自分にも厳しい。だから、何か物事がおきると、誰々さんが悪いという他罰的な発想になるか、あるいは自分が悪いとひたすら責めのベクトルが自分に向いてしまうような方もいます。
ベクトルが自分に向かってしまう方は、自分で自分を罰しているので余計辛くなる方が多いのです。
例えば、心身の不調で少しの間、休職していた方が復職した際に、以前自分ができていた100の仕事をできないことで自分を責めてしまう。せっかく体調に回復の兆しが見え復職できたのに、自分に厳しい考え方が修正されていないと、同じようなことを繰り返してしまうわけです。
■ 70の自分でも良し! と思える心の余裕を
そんな時は一方的な考えに偏ってしまっているので、別の考え方がないかどうかを一緒に探していくという作業をすることもあります。ダメな自分ではなく、別の自分の側面に気付いてもらうという作業ですね。
そうすると、「以前に比べて仕事の効率は下がっているかもしれないけど、まわりの同僚たちと少しラクにコミュニケーションがとれるようになっている」、など、良い側面もあるもの。そいういう気づきは、ベクトルの方向を少し変えるのに役立ちます。
100%ダメな自分ではなく、70%ぐらいはまだまだダメかもしれないけど、残り30%は良くなりつつある、とか、成長できている、など。0か100ではなく、70の自分を言葉で表現して、その時に感じる気持ちを味わってもらうのです。この訓練を繰り返し行うことで、70の自分でも良し! と思える心の余裕ができてきますよ。
[執筆:高橋 雅美(心理カウンセラー)]
※写真:kou / PIXTA(ピクスタ)、本文とは関係ありません