男性は狩猟体質といわれています。そのせいなのか、男性にとって「結婚」はゴールイン。「結婚したからもういいだろう」と根拠もなく安心してしまう生き物のようです。結婚記念日や誕生日をつい忘れてしまうのも、すっかり安心しているせいです。
■ 男性はサインやシグナルに気がつかない!?
結婚生活は流動的ですし人の気持ちは変化するものなのに、男性はなぜ根拠もなく「もう大丈夫」と思ってしまうのでしょうか。女性からすると不思議な感覚ですが、妻からいろいろなシグナルを送られても、夫が気づきにくい理由は、どうやらそのあたりにありそうです。
一方、女性は常に気持ちを確認しておきたがる傾向にあるので、「忘れられている」=「愛されてない」と感じやすいようです。こちらも思い込みの要素が大きいといえますが……。
男女の脳には違いがあります。男性は細かい事には気づきにくいので、「こんなにシグナルを送っているんだから、少しは感じ取ってよね」と、妻が夫に期待を抱いても、ガッカリな結果となる可能性大です。また、伝えたつもりでもまるで相手に伝わっていない、ということも往々にしてあります。「伝わっていない」のは「言っていない」のと同じこと。これを繰り返していくと、夫婦間に大きな溝が生じてしまうのでご注意を。
■ 「私メッセージ」で思いを伝える習慣を
相手に不満があるときは、つい相手を責める口調になりますが、これはあまり効果なし。言葉選びと言い方に配慮しながら、自分の気持ちをわかりやすく伝えましょう。話し方で効果的なのが「私メッセージ」です。
「私メッセージ」という言葉は、筆者が幼児関連の取材をしたときに『親業に学ぶ子どもとの接し方』(※)という本の中で出会いました。親が子どもと接するときの話し方のひとつで、「私(自分)」を主語にして伝える方法です。
「どうして(あなたは)○○してくれないの!」「(あなたが)早くして!」と子どもを主語にした「あなたメッセージ」で話すのではなく、「悲しい」「困る」「寂しい」「○○したい」など、親(私)の思いをきちんと伝えることで子どもに理解されやすくなるというもの。
「私メッセージ」は、親子関係に限らず、夫婦関係にも通用します。自分の思いをきちんと伝える「私メッセージ」で話すよう心掛けてみてください。きっと夫婦間のコミュニケーションも円滑になりますよ。
[執筆:渡辺 里佳(夫婦関係・離婚カウンセラー)]
【参考】
※ トマス ゴードン著・近藤千恵訳(1998)『親業-子どもの考える力をのばす親子関係のつくり方』 大和書房
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