筆者はキャリア・コンサルタントとして、たくさんの女性の仕事の転換期の悩みを聞いています。そこで感じるのは、多くの方が目の前の短期的な仕事をどうするかにとらわれているということ。今回は、長い人生全体で、自分のキャリアをどう進めていきたいのか考えることの重要性について、お伝えしたいと思います。
■ 女性特有の人生のキャリアとは
現在の日本の社会では、男性よりも女性のほうが、様々な働き方を選ぶ場合が多いものです。社会に出るときは正社員で働いたとしても、結婚や出産、育児という出来事を経験して、パートタイム、派遣社員などの働き方を選ぶ人も大勢います。良く言えば、女性には男性よりも多様な選択肢がある、ということになります。
ここで質問です。そんなとき、あなたは、すぐ前の自分の生活にどの働き方が合うか、やりやすいか、ということのみを考えて仕事を選んでいないでしょうか?
筆者がお勧めしたいのは、10年後、20年後、30年後、65歳で年金をもらうまで、自分がどのような人生を送りたいか? どんな仕事をしていたら、満足で充実した生活を過ごせると思うか? 長期的に考えてみることです。
現実的に今を考えたら、派遣社員の仕事で働くほうが生活しやすいかもしれません。ですが、派遣の仕事の場合、ずっと同じ会社で派遣の働き方のまま続けることは難しいため、どんどん会社を変わっていく可能性が高くなります。あなたが10年後、子育ての手が離れたときに、正社員でまた仕事をしたいと考えているのであれば、「転職回数が多い」と見なされて、書類が通らないことも多くなってしまいます。
また、扶養の範囲でパートの仕事を続ける場合は、夫であるパートナーの収入がある、という前提が第一になります。この先、パートナーが病気になる、会社の都合で退職せざるを得なくなる、など、何が起こるかわからない今の社会。長期的には、独りで生活していけるだけの収入の道を考えておくことも非常に大切でしょう。
もし、10年後20年後、フルタイムでしっかりと仕事をしていく人生を望むのなら、今は派遣社員やパートで働くとしても、PCスキルを磨いてどこでも使えるようにしておく、学校に通って自分の興味のある専門知識の勉強をしておく、など計画を立て自分のキャリアを自分で切り開いていくよう行動しましょう。それが、将来の仕事を選びやすくすることにつながるのです。
[執筆:渡部 幸(コーチ/キャリアコンサルタント)]
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