共働きの増加に伴い、保育園入園へのニーズが増え続ける一方で、保育士不足が深刻な状況が続いています。待遇や労働環境の厳しさから、やりがいはあっても長く続けづらいという働き手側の現状がある中、人手不足を補う措置として厚生労働省は、保育士の配置基準に関する緩和策をとりまとめました。子どもの安全は守られるのでしょうか?
■ 朝夕に限り、保育士1人でもOKに
2015年12月4日付『日本経済新聞』によれば、厚生労働省は保育士の配置基準に関する緩和策について、今年度中に省令を改正し、来年4月から新ルールを適用するとのこと。その内容は、保育士2人以上の配置を義務付けている現行ルールを変更し、子どもの少ない朝夕に限り保育士1人に加え、研修を受けた保育ママなど資格を持たない人での保育を認めるというもの。
配置する保育士数の3分の1以下ならば、幼稚園や小学校の教諭、養護教諭による保育も可能になり、幼稚園教諭は3~5歳児、小学校教諭は5歳児を主に保育し、養護教諭は年齢にかかわらず保育できるということです。実際の運用については各自治体に任せられる部分もあるようですので、心配な場合はご自身の自治体では具体的にどのような環境となるのか確認することも必要となりそうです。
■ 深刻な保育士不足
2015年12月5日付『読売新聞』によれば、保育園の定員は今年4月、前年より約14万人増えたが、待機児童は5年ぶりに増加に転じ、23,167人。安倍首相は、保育の定員を17年度までに50万人増やす方針を打ち出しており、7万人以上の保育士が必要となるとのこと。
厚生労働省は、16年度から保育士の国家試験を年1回から2回に増やしたり、働く地域を限定する「地域限定保育士」という資格を新設するなど対策をとるそうです。
子どもを預ける親としては、最低限の安全の確保はもちろん、保育内容の質にもこだわりたいところですが、入りたい保育園を選べる状態に無いのが現実です。筆者の経験上、入りたい保育園を選んで入所しても、保育士さんの入れ替わりや、異動なども多く、結局担当する保育士さんまでは選べないので運を天に任せることになります。親としては、せめて自分の入る保育園の運営に不安な点はないかを確認し、担当の保育士さんとコミュニケーションを取る努力をすることが大事ではないでしょうか。国や行政の動きに関心を持って情報収集していきましょう。
[執筆:藤崎 葉子(キャリア アドバイザー)]
※ 児童福祉法では「保育所」の表記が本来の名称ですが、一般的ではないため、本記事では「保育園」と記載しています。