あなたがキャリアを選択する時の基準は何でしょうか? 責任ある立場でリーダーシップを発揮することでしょうか? 経済的な安心や安定、福利厚生などの充実でしょうか? あるいは社会を少しでも良くしたいという思いでしょうか?人はそれぞれ、キャリアに対して様々な選択基準を持っているものです。
この、キャリア選択の「指針」となるもの。アメリカの組織心理学者であるエドガー H.シャインが、その「指針」をキャリア・アンカーと名付け、8つのアンカーがあると提唱しました。アンカーとは船の錨のことです。
■ キャリア選択の指針となるキャリア・アンカー
この8つのアンカーは、様々な日本語に訳されていますが、「キャリア・アンカー 自分のほんとうの価値を発見しよう」によると、以下のようになります。
- 1. 専門・職能別コンピタンス
- 2. 全般管理コンピタンス
- 3. 自律・独立
- 4. 保障・安定
- 5. 起業家的創造性
- 6. 奉仕・社会貢献
- 7. 純粋な挑戦
- 8. 生活様式
例えば、自律・独立のアンカーを持つ人は、組織の中で働くにしても、いったん目的など方向性が決まれば、やり方などは自分に任させてほしいと思っています。生活様式のアンカーを持つ人は、ワークライフバランスを大切にする人です。これらのアンカーには、優劣はありません。これらの「指針」は、私たちの仕事の「やりがい」に大きく関わっているのです。
自分がどのキャリア・アンカーを持っているのかを調べるには、自己診断の質問票をやってみるのが良いでしょう。書籍やキャリアセミナーなどで提供していますので、探してみてくださいね。
■ 強みの発揮と自己肯定感も大切
この「やりがい」に加えて、仕事を通じてハッピーになるには、自分の得意分野、強みが発揮されているかも大切なポイントです。さらに、その仕事をする自分自身に意味や価値を感じているかどうか、つまり自己肯定感を持てているかどうかも重要です。
あなたは普段、自分の得意分野や強みを考えたことがありますか。「営業」や「広報」などの職種ではなく、「他人を巻き込み実行する力」とか「まわりに発信する力」とか「新しいものを創り上げる力」など、どんな力を持っているでしょうか。一度、じっくり考えてみることもお勧めします。
[執筆:高橋 雅美(心理カウンセラー)]
【参考】
※ エドガーH.シャイン、金井壽弘(訳)(2003)『キャリア・アンカー 自分のほんとうの価値を発見しよう』
※ 写真:Taka / PIXTA、本文とは関係ありません