「姉妹というのは仲が良い」と一般的に思われがちです。何といっても同性同士、衣服やバッグなどを交換したり、母親には話せない事でも姉妹の間では共有できるなど、精神的結びつきが強い傾向があります。姉は妹をかわいがり、妹は姉を慕う……という形が理想ともされるようですが、関係性が密なだけに両者の間にライバル心が存在するケースもあります。もちろん、競争意識はお互いを高め合うことにもなりますが、これがいびつな形となって存在するようになると、どちらか一方が苦しむようになります。
■ 趣味をまねてくる妹に悪意を感じる
生活を共にしている時から、やたらと服装や髪形までまねしてくる姉妹の存在に、苛立ちや戸惑いを感じた事があるかもしれません。母娘や姉妹の関係改善カウンセリングを行っている筆者のもとには、そうした関係性に悩み相談に来られる方もいます。
関東近郊に暮らすA子さん(35歳)は、8年前結婚を機に関西の実家を離れ引っ越してきました。3歳下の妹も結婚し、実家のそばに暮らしています。遠距離のため妹と会うのはお盆、お正月休みくらいになっていますが、毎回再会するたびにA子さんは嫌な気持ちになるのを隠しきれないと言います。というのも、妹がなぜかA子さんの趣味をまねしてくるからです。昨年お盆に会ったとき、大人向けバレエを始めたと話したら妹も秋には通い始めたと言います。
とくに競争意識を感じたのは、もともとA子さんはパン作りが好きだったのですが、妹もパン教室に通い始め、バザーでは自分の作ったものが一番売れたと得意げに話した時です。A子さんは妹が新しいことにチャレンジするのは応援したいけど、なぜいつも自分と同じものを選ぶのかがわからないと言います。
たしかに、妹さんの行動には理解できない部分もありますが、たとえば未知の事を始めるのに躊躇するような慎重な性格の場合、A子さんの話を通して大体の事情がわかっていると一歩踏み出しやすいという理由があるかもしれません。そこには姉への対抗意識などは、ないのかもしれないのです。一方、ライバル心が感じられる場合は、こちらも応戦するのではなく、お互い刺激し合えるような関係と割り切り、大人の対応を心がけるべきです。しかし、もしそこに妹の敵意する感じられるようなら今一度、姉妹の関係を見つめ直すよい機会かもしれません。
[執筆:横山 真香(母娘関係改善カウンセラー)]
※写真:KEIGO / PIXTA、本文とは関係ありません