価値観の違い、性格の不一致、浮気…、理由は様々ですが、夫婦問題に特化したカウンセリングを行う筆者のもとには、「夫婦ゲンカが絶えません」と疲れた様子でご連絡くださる方が少なくありません。
■ 夫のやることなすことが気になって仕方ない
先日も30代女性のAさんからご相談がありました。
「夫が 私の話を聞いてくれないんです」
「夫が 自己中で困ってます」
「夫が 〇〇〇と言うんです」
「夫が 育児に協力してくれないんです」
Aさんのお話を伺っていると、どんな話にも、最初に「夫」がついてきます。夫の言動に対する不満でいっぱい。夫のやることなすことが気になって仕方がないご様子です。
「私は こんなにしてあげたのに……」
「私の言うことはきいてくれない」
「私ばっかり大変で、損をしてる」
話の最初に「私」という言葉がつくときは、このような具合で、「自己犠牲感」「不公平感」でいっぱいになってしまうようです。誰しも、自分がいちばん正しいと思う側面があるので、どうしても、「自分が正しくて、相手が悪い」という図式になってしまうのかもしれませんね。
■ 夫への執着=夫への愛情!?
ただし、主語が「夫」になっているということは、それだけ、夫に対する執着が大きい。そしてそれだけ、夫に対する期待が大きいともいえます。
「愛情」の反対語は「無関心」という、マザー・テレサの言葉がありますが、ここまで夫に執着しているのは、もしかしたら、愛情の裏返しかもしれません。大好きだからこそ、夫に期待通りになってほしい、と心が叫んでいるのかも……。
「夫はどうしたら変わるんですか?」という質問もよく受けます。人間ですから、不満や愚痴が出てくるのは当然ですし、ずっと一緒に生活している相手のすること言うことが気になることはあるでしょう。ですが、相手を変えることはそう簡単ではありませんよね。
■ 一人になったつもりでやる
相手を変えるよりも、自分自身にフォーカスした方が簡単ですし、即効性もあります。ポイントは「気づいた方から先にやる」。そして、「ひとりになったつもりでやってみる」です。たとえ一人になったとしても、掃除・洗濯・料理など、最低限の家事はしなくてはなりません。相手に依存しすぎず、見返りを期待しすぎず、まずは自分のために淡々とやってみてください。
自分主軸で生活できるようになると、相手からしてもらった、ほんの些細なことに対しても感謝の気持ちが湧いてきて「ありがとう」と言えるようになるかもしれません。そうなれたとき、改めて結婚生活の良さやありがたさが理解できるかもしれません。
[執筆:渡辺 里佳(夫婦関係・離婚カウンセラー)]