2016年5月、北海道七飯町の山林で山菜採り中に7歳の男の子が行方不明になった事件が報道されました。本件では男の子の両親が「人や車に小石を投げるなどしていたため、しつけのために車から降ろして置き去りにした」と証言したことが話題になっています(※1)。この「しつけ」を考えるにあたり、「怒り方」「叱り方」の違いについて取り上げていきます。
■ 「怒る」と「叱る」の違い
子供が悪いことをした際に当然注意しなければなりませんが、注意するときに「怒って」いますか? それとも「叱って」いますか? ここで、改めて「怒る」と「叱る」の違いを整理してみましょう。
・怒る
「なんで○○したの?」「なんで△△できないの?」「そんなこともわからないのか」などという言葉に代表されます。これらの言葉に共通しているのは、自分の感情が先に立って、相手の批判が中心になっているということ。感情的に、過去の相手の行動を責めてしまっているのです。
・叱る
「○○すると、あなたが怪我するかもしれないからしてはいけない」というように、なぜ○○することがいけないのかについて、理論的に伝えることが「叱る」です。相手の批判ではなく、相手のためになるかどうかという視点が加わるかどうかが、「怒る」との大きな違いです。
■ 相手の「気づき」を促すために
自分の感情任せで怒っても、相手の気づきを促すことにつながらないことも多いもの。このことは、親が子供に対して「しつけ」として行うときのみならず、企業で上司が部下指導をする際にも共通しています。
なお、前述の「怒る」について整理した際に挙げた「なんで○○したの?」「そんなことも知らないの?」という“NGワード”。20代の男性社員に「上司に言われてストレスを感じる言葉は?」という調査をしたところ、1位と2位にランクインしていました(※2)
つい感情的になりそうな時は、言葉にする前に大きく深呼吸。怒りの感情のピークは長くても6秒程度と言われます。6秒我慢できるよう、ひと呼吸おいてみましょう。そして、「その言葉で一番満足するのは誰なのか」を考えて「叱る」ようにしましょう。ただ自分が疑問に思ったことをぶつけたいだけであれば、満足するのは自分自身かもしれません。
[執筆:浅賀 桃子(メンタル心理・キャリアカウンセラー)]
【参考】
※1. 『朝日新聞デジタル』「「しつけ」で山林に置き去り、小学生が行方不明 北海道」2016年5月29日
※2. 『R25』「ストレス感じる上司の言葉1位とは?」2015年1月11日
※写真:PIXTA、本文とは関係ありません