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転職35歳定年説の崩壊? 求人倍率動向から見える実態
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転職35歳定年説の崩壊? 求人倍率動向から見える実態

春からの転職を目指し、転職活動を本格化させている方もいらっしゃるかもしれませんね。厚生労働省の発表によると、2016年12月の有効求人倍率(企業からの求人数をハローワーク登録の有効求職者数で割った値)は1.43倍と25年5か月ぶりの高水準となりました(※1)。転職サイトDODAの転職求人倍率レポート(※2)でも、2016年12月の求人倍率は2.93倍と好調を維持していることが分かります。

■ 転職成功は35歳まで?

キャリアコンサルタントの筆者の元には「転職市場は上向きでも、結局ミドル層の転職は難しいのでは?」という声がよく聞かれます。特に35歳以上の方は「派遣社員35歳定年説」「IT業界35歳定年説」など、転職の限界とされる年齢を迎えていることに対する不安感が根強い傾向がみられます。

しかし、「IT・通信」業界は求人倍率の大幅な上昇がみられ、特に新しい情報技術であるICT(Information Communication Technology)やIoT(Internet of Things)などが重要視され、積極的な採用が行われています。転職成功者の平均年齢は32.3歳(※3)と約10年前から3歳ほどアップしています。特に事務職・専門職・技術系(IT・通信)などで平均年齢の大きな伸びがみられ、もはや「転職35歳定年説」は崩壊に向かっているといってもよい状況です。

■ ミドル層の転職成功のために

これまでの転職市場では、35歳以上のミドル層人財にはマネジメント経験者を求める傾向が強く、マネジメント経験が少ない方はなかなか転職が難しいという悩みも多く聞かれていました。ただ、先述の通り新規分野や技術への参入が進むなど、企業を取り巻く環境の変化に合わせて、専門性を磨いたスペシャリストとしての採用も増加しています。

年齢に見合ったコミュニケーションスキルなど、職場が変わっても汎用的に活かせるポータビリティの高い能力を身に着けていることをアピールすることで、ミドル層にもこれまで以上に転職成功のチャンスがあるといえます。これまでにどのようなキャリアを築いてきたか、その中で自身のポータビリティスキルをみつけることが、転職成功のカギとなるでしょう。

[執筆:浅賀 桃子(メンタル心理・キャリアカウンセラー)]

 

【参考】
※1. 求人倍率、1.43倍に改善=25年ぶり高水準、失業率3.1%-12月(時事ドットコム 2017.01.31)
※2. 転職求人倍率レポート(DODA 2017.01.16)
※3. 転職成功者の年齢調査(2016年上半期)(日経ビジネス Online Special)

※写真:PIXTA、本文とは関係ありません

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