『NEWS23』(TBS)でキャスターに復帰することになった雨宮塔子さん。雨宮さんは、フランスでパティシエの青木定治氏と結婚し、2児をもうけた後、2年前に離婚。今回のキャスター復帰にあたり、前夫に子どもたちを託し、帰国することに。すると、女性週刊誌で「離婚した夫に子どもを押し付けて、仕事に復帰した」「母親のわがままで子どもを捨てた」などとバッシングされたそうです。
■ いつまでも「母性神話」が消えない日本
このような批判があると、欧米に比べて日本はまだまだだと感じます。日本は、いつまでたっても、子どもは母親が育てるべき、という「母性神話」が消えません。
子どもは、夫婦ふたりの宝物であり、大きな財産であるにも関わらず、なぜか子育ての責任は母親が担うべき、という概念が根強くあります。実際、こうした神話に縛られている女性はとても多いように感じています。
夫婦問題に特化したカウンセリングの現場では、「離婚したいのですが、子どものために離婚できなくて」とため息交じりに話す相談者が少なくありません。この話のあとで決まって、「私ひとりが我慢すればいいのだから……」と続くのですが、なぜ、母親がひとりですべてを背負い、我慢を強いられなくてはいけないのでしょうか。
■ 度が過ぎた甘えや依存は「自立」を阻む
もちろん子どもは、母親の愛情を欲し、親が世界そのものではありますが、子離れ、親離れをしなくてはいけない時期が必ずやってきます。幼少期は、面倒を見なければならないので、つい、その延長であれこれ面倒を見てしまいがちですが、年齢とともに、互いを尊重しながら、距離感をもって接する必要があります。いつまでも依存しあっていると、親も子もなかなか自立ができませんよね。
雨宮さんが、復帰を決意するまでの経緯が書かれている『婦人公論』(8月9日号/中央公論新社)には、「子どもから“ママは仕事をしてほしい。でも自分たちはパリに残りたい”と意思表示があり、それならば、とパリに住む元夫が、子どもと暮らすことを快諾してくれました」とあります。復帰の決意は、雨宮さん一人で決めたことではなく、家族の同意で成り立っていました。
さらに「フランス社会には、子どもでも自分の意思をきちんと伝える文化が根付いている」と日本の意識の差についても提示されていました。
■ 意識改革でもっと生きやすい世の中に
「自立した親子関係」
「自立したパートナー同士」
皆が幸せに生きるには、「それぞれが自立して生きる」ことに尽きるのではないでしょうか。依存や甘えは度が過ぎると危険です。こうした意識を広げることで、日本も女性が生きやすく、子育てしやすい世の中になるのではないかと筆者は期待しています。
[執筆:渡辺 里佳(夫婦関係・離婚カウンセラー)]